裏庭

宝塚。舞台いろいろ。

雪組『ファントム』第1幕の感想文。※ネタバレ有。

 

華やかなパリの街に暖かい灯がともる頃、何処からともなく現れたうろんな案内人に誘われて不安気に煌めく月が沈むセーヌ川を小舟にゆられて辿りついたのはパリの闇がいちばん深い場所・・・それはオペラ座の地下の小さな沼の辺に住んでいる怪人の棲家。人々は声を顰めて彼をこう呼ぶ、“オペラ座の怪人”と―。

そんなナレーション付きの「オペラ座の地下バーチャルツアーへようこそ」みたいな映像は新鮮なわくわく感をあたえてくれた。再演4回目にしてパリにおけるオペラ座地下の位置関係やエリックのお家の間取りを垣間見ることが出来たのだ。そして某ねずみ王国のアトラクションのように映像が観客をオペラ座の地下へと誘う。

暗くなまぬるい風が吹く洞穴の中に一輪、はかなげにふるえながら咲く白い花。その白い花から花弁が一片、こぼれる。花弁がスクリーン中央に堕ちると、幕が上り、そこに現れたのは―、オペラ座の怪人・・・望海エリック。まるで白い花弁が姿を変えて現れたかのような演出。白い花はクリスティーヌの象徴だと思っていた。実際、そうなのだとは思うのだけれど、え、何、あの白い花はエリックだったの???としか思えず、思えず・・・。

 

望海エリックと従者たちがこの世に生まれてからずっとその身を呑みこんできた苦しみの海で溺れながらもがくように踊る。その混沌を裂く白い光。光は人のカタチを成して現れた。それは聖母マリア・・・朝月さん演じるベラドーヴァ。エリックにとって聖母マリアは母、ベラドーヴァであった。ゆえに観客はエリックの目をとおして、あるいはエリックの心のなかをのぞきながら聖母マリア(朝月ベラドーヴァ)の姿を見ているのだと、そう感じた。従者たちも聖母マリアに懇願するように手をのばす。彼等が視ている聖母マリアはどんな姿をしているのだろう。彼等もかつて母の愛を失い、そしてその失った愛を求めつづけているのだろうか。従者たちはエリックの心を映す鏡のような存在でもあり、そしてまた、彼等には彼等の物語が在り、彼等もまた、失ったものを求めて死の苦しみさえも及ばない苦界をひとりの人間として生きているのだろう。

少人数になったからか、従者ひとりひとりの個性と物語が色濃く、はっきりと解るのが今回の『ファントム』。今までも従者に対しては過剰なドリィ夢を抱いてきたので勝手に自分のなかでどんどん物語は生まれてきたし二次創作もしましたけどね。真瀬くん本人によるセルフ従者設定は伝説だと思う。

今回の従者の設定にも興味ある。ちなみに私の脳内ではあんな設定こんな物語がすでにいろいろ出来上がっています。うすい本6冊は出せる。

聖母マリア―ベラドーヴァを見つけると母親をみつけた迷子の子供のような顔をして駆けよる望海エリックはほんとうに幼い子供のようで、これはエリックが子供の頃の心象風景なのかと思ったのだけれど、エリックはもうずっと長いあいだ、こうやって母を求める子供のままだったのだと知ると、身が捩じ切れてしまいそうなほど苦しくなった。母の幻影にすがりつくその手を掴んで抱きしめたかった。理性が私の肉体を客席に縛りつけていたけれど、魂は舞台にダイブしていた。きっと総客席みな同じだったと確信している。どうして望海さんはあんなに「かわいそかわいい」演技宇宙一なの。

 

幕開きだけでこの文字数。実際、舞台から受け取るものはこれ以上で、もうこの時すでに私の魂マイナス10kgだよ。

 

オペラ座通りで歌いながら楽譜を売る真彩クリスティーヌ。楽譜を売っている、と云うよりも、歌を売っている、と云うほうが合っている。まさに、楽譜を手にするとそこからクリスティーヌの歌があふれてくるような、そんな魔法のように不思議な歌声を真彩クリスティーヌに感じたからだ。それって現代だと路上でCDを売っているストリートミュージシャンなのでは。

それはさておき、ここからは二次創作の領域になるのだけれど、あの子はだあれ?見たことがないなあ!そう、クリスティーヌは何処からやってきたのだろう。原作ではクリスティーヌの生立ち等の設定が記されているけれど、この『ファントム』ではそのあたりにふれてはいない。そう、クリスティーヌは突然、パリの街に現れたのだ。まるで、神様がエリックの魂を救うために生まれたばかりの天使を地上に遣わしたかのように。私のかわりにあの子を抱きしめてあげてほしいの、そう、神様にお願いをしたのはもちろん朝月ベラドーヴァさん。地上に舞い降りた天使クリスティーヌの背中から翼は消え、天上界での記憶も失ったクリスティーヌの手には、楽譜がひとつ。クリスティーヌは楽譜を手に、パリの街へ翔けだした―・・・。はい、二次創作終わり。もういくらでも物語が生まれてきます。 

陽気なパリの紳士たちの手をとり歌いながら踊る真彩クリスティーヌの表情は、ひとりひとりの行動に合わせて、びっくりしたり、楽しんだりとくるくる変わる。一瞬たりともおなじ色をしていない瞳がキラキラしていて、その背中には見えないはずの翼が見えるようだった。天使。もうクリスティーヌが天使なのか真彩ちゃんが天使なのか・・・。

トレビアン!と聴くと、悠未さんを思いだしてしまう。ぜんぜん違う、トレビアン!だけれど。

望月ジャグラーの回してる座布団(ざぶとんに見える)が気になって仕方がない。まだ回ってる・・・、まだ・・・すごい・・・とまらない・・・、ついチラ見してしまう。いつも回ってる。ほんとすごい。

永久輝くんは可愛い子には声をかけるけど遊びってわけではなく本気が大量生産されているだけな紳士で、煌羽さんは可愛い子には声をかけるのが紳士の礼儀だけどこいつ、本命は絶対他にいるな・・・といつも何故か思ってしまう。綾くんは、めちゃくちゃ好みのタイプの子いたー!て思っていそう。

そして満を持してシャンパン王の登場です。ふわっ・・・と点描をまといながら花を背負って現れるのが彩凪シャンドン伯爵。キラキラエフェクトでキラ星をとばしながら現れるのが朝美シャンドン伯爵。彩凪シャンドン伯爵は大人のスマートさでまだ少女のクリスティーヌに優しさと敬意をもってその歌声を讃えながら、でも、ちゃんと口説くことも忘れない、そんな余裕がある。そしてもう伯爵と云うかプリンス。しかも白馬に乗る系じゃなくて飛竜に乗ってやってくる系プリンス。オーラが白銀。

朝美シャンドン伯爵は若くして地位と名誉と成功を手に入れた今まさにノリにノっている青い春まっさかりの若者。可愛いくて才能のある女の子は僕が成功を約束してあげるよとばかりにためらいなく手をさしのべる。君がハッピーなら僕もハッピーさ理論でまわりを明るくする才能を感じる。オーラはミラーボール。

オペラ座通りはパリの陽の部分を象徴するような場面。パリと云う街が持つふたつの顔のひとつ。まさに、仮面の無いほうの顔。そして場面は、パリの仮面の下に隠された顔をのぞかせる・・・。

 

すごい数の蝋燭。ちょっと多すぎない?カルロッタの、「古い衣裳とか、古い大道具とか、」何と云うことのないセリフのようだけれど何故か印象にのこるセリフ。カルロッタの、たとえ古い大道具でさえ自分が知らないことがあるなんて許せない自分は何もかもすべてを牛耳りたいと云う独裁と強欲さと、そしてある意味、オペラ座を経営する経営者としての意気込みを感じる。

望海エリックが天月ブケーさんを、突然の来客、にたとえた話には頷いてしまった。そうだよね、アポなしで突然来られてもびっくりしちゃうよね。ブケーさんが悪い。エリックはブケーを殺すつもりはなかったのだろう。ちょっと脅かして早々にここから出て行ってくれればよかった、そう思っていたのに、ブケーがエリックの顔を見てしまい、ちょっと、ではなくめちゃくちゃ驚いてしまったために足を滑らせ下へと落ちてしまった。あれは事故であった。そしてエリックはその望まぬ死を招いた自分の醜い顔を手で覆い、絶望する。ブケーの死よりも、顔をみられたこと、その顔を見て人が死んだこと、そのほうがエリックにとっては辛かったのだろうと思う。

自分の存在は呪いでしかないのか。自分にとっても、他の誰かにとっても。望海エリックの嘆きのような歌声は哀しい絶望に満ち々ていた。

 

夜のために着替えをしよう。この歌詞の意図が、貴族ばかりではなく労働者階級の人々が仕事のあとに仕事着からドレスに着替えてオペラを観に来る時代の到来を意味していると今回はじめて知り、華やかなドレスを着て誰よりも目立とう!(成功し、お金をもっていることを誇示しよう)と云う、俗っぽいけれど、民衆が身分に関係なく社会の中心で活躍している力強さと新しい時代を感じることができた。ある意味、エリザベートの「ミルク」やスカーレットピンパーネルの「ひとかけらの勇気」と同種のものを感じた。そして舞台裏では初日の幕が上るまえの昂揚感にあふれていて、それぞれが自分の仕事をしている様子が楽しく、目が足りない。黒いかっちりとしたドレスにきりりと杖を持つ早花マダム・ドリーヌと眼鏡っコ白峰ルルさんが特にお気に入り。初演からマダム・ドリーヌが大好きだった。某ホテルで貴柳さんをお見掛けする度に、マダム・ドリーヌの姿を思いだしていた。白峰さんのキャラづくりは天才的だと思う。

そしてちゃんと初日の様子を見守っている望海エリックさん。オペラ座は自分のもの。エリックはオペラ座と、そのオペラ座で情熱をもって舞台に邁進する団員たちのことを大切に思っていたのではないだろうか。上達した子にはひそかに拍手を贈っていたり、挫折しそうな子にはそっとエールを贈る。オペラ座は僕のもの、そして団員たちは僕が育てたくらいに思っていそう。(調子にノリがちなエリック。)

 

彩凪ショレと朝美ショレに対する舞咲カルロッタさんの態度の違いがあからさまで、カルロッタも舞咲さんひとりAパターンBパターンなのかなと思うくらい。

朝美ショレは舞咲カルロッタさんのことをほんとうに世界でいちばん可愛いと思っているのがよくわかる。彼女の才能をミリも疑っていない。まさに盲目。最初、朝美ショレのビジュアルを観たときはびっくりした。ここまでやっちゃう?!あのキレイな顔を惜しげもなくギャグキャラにしている・・・、この、キレイな顔面への執着の無さは少年漫画の主人公だ。殴り合いでボッコボコにされても傷とかついてもてんで気にしない、美形設定なのにデフォルメされまくりの少年漫画のヒーローだ。朝美さんの徹底した役作りが好き。役に対するビジョンがはっきりしていて、自分をその役にどんどん近づけようとする、ひたむきな貪欲さを感じる。

彩凪ショレさんはちょっとかわいそう。カルロッタさん、ちょっとはデレてあげてーと思ってしまう。(東京Bパターン楽にちょっとだけデレてくれました!)あのお髭と奥さんの尻に敷かれている、ちょっと臆病などなどの設定でイメージが出来上がっているけれど、よく見たらそりゃ中身は翔くんなので、実は長身で美丈夫と云う現実。もしかしたら大きな心でカルロッタが何をしてもすべて受けとめてあげているのかな、と思ってしまう。

彩彩フィルターがかかっているので、彩風キャリエールは実は彩凪ショレが恐がりだと云うことに気づいていて、ワザとあおっているのではとか思ってしまう。彩凪ショレに対して攻な姿勢を感じる。凪さまおばけ恐いんですね・・・?て云う心の声も聞こえる。(幻聴)

「あなた方の知らない妖精や、決まり、そして私には責任があるんです、」妖精・・・ではなく要請だと云うことは解っていますが、妖精・・・エリックちゃんのことかな・・・?確かに妖精さんみたいなモノだよね・・・こう、座敷わらし的な。怪人、よりも妖精とか妖怪とかのほうが似合う気がする。

ショレにファントムからの手紙を胸につきつけられて、そ、とその手紙をおさえる彩風キャリエールの手がとても丁寧で何か大切なものでも扱うようでとてもエレガント。溺愛している息子がいっしょうけんめい書いた手紙だもんね。

 

支配人を解任されてしまったことをエリックに告げるキャリエール。エリック、わりとあっさり受け入れてるよね。

おまえと交代する男は幽霊の存在を信じるかな?!エリックの関心は既に新しい支配人に在るようで、もっと理由とか訊いてくれたり寂しがってくれたりしてもいいのでは・・・、とか彩風キャリエールさん思っていそう。

でもね、エリックだって一瞬、ジェラルドがいなくなってしまう、て思ったと思うんだ。でも、それは飲み込まなくちゃいけない想いだと云うことをエリックは知っていたから、その気持ちに気づかなかった振りをしたのだと思う。その葛藤、わずか2秒。

でも彩風キャリエールもエリックに、おまえと一緒にここを出ていくよ!と言われたときは嬉しい反面、それは無理だと云うことが解っていたから、一緒に行こう、と言えなかった自分を責め、あとでひとり落込んだんだろうな、と、親子であることを明かせない故に、自分の本当の感情に目を背けなければならないこの、父子の会話に、胸が痛む。

彼等がいるじゃないかきっと君の助けになる。苦しまぎれにでてしまった、まるで言い訳。キャリエール自身も自分で言いながら虚しい言葉だとちゃんと解っていただろう。人に丸投げしようとしてんじゃねえよ、と、従者たちもツッ込みたかったことだろう。

自分の事だって何もできやしない僕が食べものを手に入れてやらなかったら飢え死にしてしまうさ!これも説得力皆無の台詞で、たぶんみんな(キャリエール、従者、観客)そんなことないんじゃないかな、と思ったよね。従者たち、どう考えてもエリックより生活能力高いでしょ。特に沙月従者さん(前職、貴族のお屋敷のメイド長。注:私の個人的希望)の万能感。諏訪従者くんもそこはかとなく有能感ただよってる。

エリックが自分で調達してる、と思ってる食べ物はキャリエールさんがさり気なく用意してくれている(栄養がかたよらないように献立もちゃんと考えている。おやつ付き。)ことをエリックは知らない・・・。

僕をあたたかくむかえてくれる優しい人たちはどこにいるのだろう・・・。エリックーうしろーうしろにいるよー!君を誰よりも深く深く愛している人がものごっついさみしそうな目でみているよー気づいてー。

エリックに歩みより手をさしのべようとするキャリエールに従者たちがにじり寄る。その気配をさっして身を引いてしまう彩風キャリエール。またかよ!そこは従者たちの保護者オーラをふりきって抱きしめろよ!あすなろ抱き待ったなし!でも、そこで抱きしめることが出来るのならこの父子はこんなに関係こじらせたりしてないんだよね。

キャリエールをガン無視して愛に飢え愛に渇き愛を求めるエリック。そんなエリックのそばにいながらずっと、キャリエールにとってエリックは「生きがい」だったのだと思うと、エリックちゃんそういうとこだぞ・・・、まさに親の心子知らず。まぎれもなくこの二人は親子なのだ。

カルロッタさんたちに従者の姿は見えないのか。でも従者は幽霊ではない。生身の体を持っている。従者たちは、「いないもの」としていつも扱われてきた。誰も彼等を見ようとしない。気にとめることもない。人は、見ようと思わなければ見えるものも見えないのだ。的なことなのでは、と云うのがひとつ。あとは、工作(建築関係)が得意なエリックちゃんがオペラ座の部屋中に仕掛けたカラクリによるものなのかな、と云うのがもうひとつ。どうなのかな。

ここ。カルロッタへのイタズラに笑う従者ちゃんたちの貴重な笑顔を見る事が出来ます。笙乃従者ちゃんが笑ってるー!かかかかかかっわいー!カルロッタさんとヴァレリウスさんと縣従者くん、いい仕事した。

 

素敵な笑顔はともかく、きれいな足とか、あのスカート丈で足を見るってどういう状況なんだろう。「君の美しい脚はスカートのなかに隠れていてもわかるさ、」とか言うのかな。彩凪くんと朝美くんじゃなかったら許されないセリフだな。綺麗なお洋服にいたっては、そんな理由でスカウトしていいものなの?けっこうスカウトの仕方がいいかげんだなと思うけど、シャンドン伯爵親衛隊の女の子たちみんなちゃんと踊れるし歌えるし、あのわずかなあいだでクリスティーヌの歌声に目をつけたところとか、シャンドン伯爵の審美眼すごいな、と思う。手当たり次第に可愛い子に声かけまくってるわけじゃなかった。

あの方は私が歌っているのをお聴きになったのです、と言うクリスティーヌの言葉に、す、と視線をむける奏乃ジャン・クロード。奏乃さんがスカステで、この子は伯爵が連れてくるいつもの子たちとはちょっと違うぞ、と云うことを意識して演技をしている、と言っているのを聴いてから、ここの奏乃ジャン・クロードに注目している。

私だけを愛してくれていると思っていたわ、とうそぶく彩ソレリに、んべーっ、てあっかんべーする三人娘がかわいい。そして彼女たちをからかう潤花メグちゃん。ここの女の子たちのわちゃわちゃ好き。潤花メグちゃんを見るとルルー@ベルばらを思いだす。

しょんぼりして帰ろうとする真彩クリスティーヌ。落胆と、自分がオペラ座でレッスンを受けるなんてやっぱり夢だったのだと云う諦念に小さくなった肩がとても可哀想そうで、ジャン・クロードも何とかしてあげたいと思ったのだろうか。クリスティーヌは新しい支配人の元へ案内される。

 

舞咲カルロッタ。あの、ちょっとやりすぎて残念感ただようところがまさに、カルロッタだな、と思う。舞咲さんが本気だけで歌ったら誰もが認める実力者になってしまう。あの、♪こ・の・オーペヘヘヘラァ座あにぃ~、のところの歌い方とか何かむかつくもん(笑)オペラ座は私のモノ!の熱唱には圧倒されて聴き入ってしまう。それにしても舞咲さん喉強い。わりとむちゃなかんじでがーっと歌っているようでむちゃじゃないのだろうなと、シロウトながらに思う。舞咲さんはドラマティック歌姫です。『アルバトロス南へ』の舞咲さんイチオシだから。観て。

叶くん毎回違う歌を歌っている。今や皆の期待にこたえようとする気合いを感じる。印象にのこっているのは、ドラえもんのテーマ。うっかりガトえもん思いだしてしまった。

 

ジャン・クロードの機転により、クリスティーヌに有力なパトロンがついていると知った舞咲カルロッタと朝美ショレは、むかいあってちゅーってする。彩凪ショレとはハイタッチ、するかと思いきや肩すかしをくらってしまう彩凪ショレさん。むなしく一人でハイタッチしたあとに、千風ヴァレリウスさんとハイタッチ。あいかわらずの偏愛っぷりだけど、ここのやりとり好き。

衣装係になってしまったクリスティーヌ。でも、オペラ座にいられるだけで幸せなんです。天使。本気でそう思っているんだろうなあ。わかる。私も宝塚大劇場で働けるなら本望だよ。

楽屋からだんだんと人がいなくなってゆく様子が好き。バレリーナの女の子たちが手をつなぎながら駆けてゆく。梨花ガブリエルさんが最後に楽屋のなかを見回りながら、まだのこって仕事をしているクリスティーヌに、ほどほどにして帰りなさい、と声をかけたりしたのだろうか。皆が家路へ急ぎ、深まるパリの夜が感じられる風景。

 

真彩クリスティーヌがとても愛おしそうにお衣装を扱っていて、ああ、ほんとうにこの子はオペラ座にいられることが嬉しくて、オペラ座のすべてが愛おしいのだろうなあと思った。衣装係も心から喜んでやっている。そして、フ、と見つけた楽譜を手にとりそっと歌いだす。誰もいない楽屋の片隅でひっそりと、そののびやかな声を解きはなつ。誰もいないはずのオペラ座、誰も聴いていないはずの彼女の歌を、オペラ座の地下で耳にしていた者がいた。まさにここ、運命の出逢いの瞬間、エリックの初恋が生まれた瞬間なんだよね。エリックがあのとき読んでいた本はウィリアム・ブレイクの詩集だろうか。母を想いながら夜の帳に抱かれていたエリックが母の歌声に似たクリスティーヌの声と出逢った。エリックにとってはまるで魔法のような出来事だったのだろう。

望海エリックの、うっとりと目を閉じて、恍惚にわずかにひらいた唇が美しくも艶やかで、宝塚補正を加味したとしても醜い顔設定とか無理あるんじゃない?よしんば顔の造作は醜いとしても、思わず触れてしまいたくなるほどの魅力(ふんわり表現)は隠しようがないんじゃないの?むしろ顔の醜さとアンバランスなその魅力は人心を狂わせるものなのでは・・・?そりゃキャリエールも誰にも見られないように閉じこめるわー誰にも見せたくないわー、こわいこわい。

歌っているところを見つかり、怒られてしまうかしら、と、きゅ、と身構える真彩クリスティーヌ。歌声を褒められてクリスティーヌの緊張が一瞬、フ、とほどける。だがこのままではこのオペラ座で歌うレベルには到達出来ないだろう、と言われてしまい、またまたうつむく。でも、ここで君を歌えるようにしてあげたい!僕に君の歌をみさせてくれ!力強いエリックの言葉に、未知なる何かへのときめきを瞳にたたえてエリックを凝、とみつめるクリスティーヌ。真彩ちゃんの感情の動きがくるくると変化するのが手にとるようにみえる演技に魅入ってしまう。

きっと君をみつけるから・・・!このせまいオペラ座の中なんだからそら簡単に見つかるだろ。と思いながら、感極まったエリックの様子に、このひろい世界の何処にいても僕はきっと君をみつける・・・!みたいなドラマテッィクさを感じてしまい、つまり、エリックはこの先クリスティーヌが突然いなくなってしまっても必ずみつけてみせる、と、そう云う気持ちがあふれてしまったのだな、と理解。エリックにとってはこの狭くも広い世界でクリスティーヌに出逢えたことは奇跡だったのだろう。

 

真那ルドゥ警部さん。この人どこまで知っているのだろう?と思ってしまうほどに彩風キャリエールさんにたいしてあまくない?態度が微妙に思わせぶりなのだけれど、何もかもを知っているようにもみえないし、オペラ座の怪人ファントムにたいしてはとことん厳しい態度だし、それにしてはキャリエールさんの言うことほいほい信じちゃうし、あきらかにあやしい態度のキャリエールをまったく不審に思っていないし・・・、真那ルドゥさんはキャリエール派閥なの?

と、思っていたら、ルドゥ警部とキャリエールは幼馴染と聴き、あーなんかわかる。ぽいぽいぽい。だから、ショレにキャリエールの仕業だ、て言われた時も、キャリエールがそんなことするワケないだろう、てカンジで相手にしなかったのか。うわールドゥ警部とキャリエールの物語が俄然気になってまいりました。ルドゥ警部はベラドーヴァとのことどこまで知っていたのだろう。最期、すべてを理解したルドゥ。ジェラルドの気持ちによりそいながらも、どうして俺に・・・俺に相談してくれなかったんだ、と憤りながら、ジェラルドは警察と云う立場の自分に迷惑をかけてはいけないと思っていたのだろうことも解っていて、とてもやりきれない気持ちになったことだろう。ここにも物語が在る。

 

カルメンのリハーサル。煌羽リシャール推しの桜路警官に注目。めっちゃファンサもらってキャッキャしてるのほんとただのファン。パリ市警仕事しろ。煌羽リシャールさんも、君、ボクのファンなの?ありがと、みたいにしっかりファンサしていて意外と神対応。煌羽リシャール、永久輝セルジョ、綾ラシュナルの三人、ソシャゲの乙女ゲー感ある。

綾ラシュナルさんは、疲れて家に帰ってきたら砂糖菓子みたいな微笑みでおかえりて言って欲しい回復系スウィートさんで、永久輝セルジョくんはその視線で刺して欲しい抱きしめられてあばらを折られたいそしてアナタのコレクションにくわえてほしいご主人さま、みたいなコンセプトが売り。私の独断と偏見による勝手なイメージです。でも、いちばん沼が深そうなのは煌羽リシャールさんだと思う。ハマったら絶対ヤバイやつ。

星南さんや娘役ちゃんたちのスパニッシュなお衣裳を堪能出来るの嬉しい。スカートさばき大変そうだけれど、見事に美しく魅せる娘役のスキルすごいな、と思う。

永久輝くんが縛られて下手そでから出てくるのあとになってから気づいた。それからちゃんと観るようにしてる。いやだって永久輝くんが縛られてるんだよ。縛ったのは従者さんたちかな。

カルロッタ主演の舞台をぶちこわすためにリハーサルをめちゃくちゃにしにきた望海エリック。でもなんだかとても楽しそうで、エリックちゃん、ほんとは仲間に入りたいんかな・・・、て思った。

地下にひきこもってたのにめちゃくちゃ踊れるのは、従者たち(超ダンサー)に特訓を受けたかららしいけれど、ひきこもりとは思えないほど堂々としていて、けっこう望海エリック、自分に自信があるよね。僕がいちばん!えっへん!て腕組みながらセルジョたちを上から目線で眺めているし、自分に対する肯定感すごい。ベラドーヴァさんとキャリエールさんの愛情のたまものだね・・・つねに、エリックのこと褒めて育てていたんだろうな。それはある意味、物語としてのエリックの悲劇性を希薄にさせてしまう危うさを含んでいながら、今回の『ファントム』が決して悲劇の物語というだけでなく、もっと大きな、はかりしれない愛の物語であることも物語っているのだと感じた。哀しみや残酷の果てに、つきることのない愛が、この『ファントム』のなかには在る。それにしてもここのえっらそーなやんちゃ望海エリックちゃんかわいすぎない?そりゃめちゃくちゃ愛しちゃうわ。

望海エリックが髪の毛ファッサー、てやってみせるフリがお気に入り。透真文化大臣が、いまあいつファッサーてやったでファッサーて、て真似するのセットで好き。

銀橋上手でアクロバティックなポーズをキメる笙乃従者ちゃんが半獣神のように美しい。銀橋であのパフォーマンスすごい。

 

ふたりの秘密のレッスン。めちゃくちゃ真面目に特訓してそう。特訓プログラムのなかには腹筋とかもあったのでは。

僕は君が着ていくものももう決めてあるんだ!て、ちょっとアレなセリフだし、白無垢みたいなドレスで着てみたらサイズぴったりだしほんとうならちょっと引くところだけど、少女従者ちゃんたちの存在により、そのあたりは沙月従者さんと笙乃従者さんが活躍したんだろうな、と思えるのでオールオッケイです。一幕と二幕の間でタイターニアのお衣裳をお着替えさせたのも少女従者さんたちです。ほんと少女従者設定万能。

 

実はエリックは女の子だった設定の可能性を考えては、和央、春野、蘭寿・・・、いやいやいやないないない、と打ち消してきたのですが、少女従者の存在によってふたたびその可能性が浮上してきてしまいました。やはりエリックちゃんの身のわまりの世話をするのに男の子たちだけではいろいろと不都合があるのでキャリエールさんが女の子を連れてきたのです。そしてまんがいちのときのために普段から男の子として振舞うよう教えたため、あのような言葉遣いになったのです。格好も男の子の洋服を着せて、でもせめて美しく飾ってやりたいと思いあのようにふりふりキラキラなお洋服になったのでした。でも冷静になって考えてみると、・・・別にエリックが女の子でも何の問題もないというか、物語にとってそれはさして重要なことではないと気づきます。クリスティーヌとの関係だって女の子同士だったとしてもなにひとつ変わることはない。顔の傷のことを考えると残酷ではありますが、そしてよりキャリエールとの関係があやういものになるようなそれはまあおいておいて、これもまたifの物語のひとつ。

 

現在、オペラ座のおむかいにあるのはビストロではなくユニクロだと聞いたときの衝撃。

ビストロに現れたキャリエールとシャンドン伯爵が親し気に抱擁しあう様子をみて、歳がけっこう離れているはずだけれど、シャンドン伯爵は博識で美を愛するキャリエールを自分の父親のように慕っていながら年上の尊敬できる友人と思っていて、キャリエールも自分を慕ってくる息子と同じくらいの年頃の聡明な伯爵に対して親心を感じながらも、この青年のように光り輝く道を歩むことの出来なかった自分の息子を思いながら、複雑な気持ちでいたのだろう。

このときはじめてキェリエールが解任されたことを知ったシャンドン伯爵。まあ、メールとかあるわけじゃないからそう簡単にお知らせ出来ないよね。彩ソレリちゃんが伯爵と親密な仲だったら彼女からそのことを聴くことが出来たはずだから、つまり、そのあいだシャンドン伯爵と彩ソレリちゃんは二人で会ったりしていなかったわけで、彩ソレリちゃんもその他大勢の女の子たちのなかの一人にすぎないことが決定でちょっとかわいそう。彩ソレリは、はじめはシャンパン王の恋人だなんてステキ、くらいにしか思っていなかったのだけれど、クリスティーヌを想う伯爵の真摯で強い眼差しに心打たれ、本気で伯爵のことを愛しはじめてしまう。他の女の子のことをこれほどまでに愛している伯爵の心が自分に無いことはわかっていたけれど、彼の力になりたい、そう強く思う彩ソレリの想いがむくわれる日が来ることを願いたい。

みんながカルロッタの歌に微妙な反応をしているなか、まあ、なんてすてき・・・!てマジで思っていそうな心にいっぺんの曇りもない真彩クリスティーヌが天使だし、クリスティーヌはどんな人のなかにもほんの欠片でも存在する美しいものを見つけることが出来るのかもしれない・・・と思った。やっぱり天使だった。

フルえる声でよわよわしく歌うクリスティーヌ・・・からの、怒涛の超絶スペシャルグレイテストファビュラスな歌声の洪水!洪水!洪水!!!説得力すごい・・・!素で驚くわ。ほんとうに、びっくりした。知っていたけれど、いやでも、こんなだなんて知らない、こんなだなんて・・・!こんなにだなんてー・・・!自分がその場に、ビストロにいて、奇跡を目の当たりにしてしまったきもちです。舞台と客席と役者と観客の境界がなくなってすべてが真彩クリスティーヌの歌声に呑みこまれた。

このときの真彩ちゃんの、これが私の声?ほんとうにわたし歌っているの?声が、声があふれてくるわ・・・?!みたいな、戸惑いながらも歓喜にふるえる繊細な演技に、うんうん、そうだよ、君が歌っているんだよ、ちゃんと歌えているよ・・・!と、心の中で頷いている。もう気分は、ずっと練習しているのを見守ってきたエリック先生と、その奇跡の歌声爆誕の瞬間に驚いているビストロの観客、両方の気分だよ。

このときの望海エリックのお衣裳好き。青を基調にした晴れの日に着るとっておきの美しい服。ダークグレーの外套を縁取る青の刺繍と金モールがアクセント。エリック、ちゃんと仮面と服のコーディネイトを合わせていて、これ真ノ宮従者くんあたりのセンスかな・・・(なんとなく真ノ宮従者くんはおしゃれのセンスがあるイメージだよ。)

クリスティーヌのお祝いの日だからうんとおしゃれしなくちゃと意気込むエリックにあわせて従者たちも正装しています。少女従者たちの正装・・・誰にお礼を言えばいいの・・・同じつくりのお衣裳なのにみんなそれぞれ印象が違っていて、違うのに同じと云うところがいい。とってもいいbyキャリエール。クリスティーヌの歌声を聴いて微笑むエリックとは対照的に、少しも頬をゆるめることのない従者たち。少し険しい表情で、まっすぐにエリックだけを見ている。その目は何を語っているのか。彼等は、皆に受け入れられたクリスティーヌがこれからどうなってゆくのか、解っていたのかもしれない。一度、光の世界へでていった者はもう、闇の世界へ戻る事は出来ないのだと。彼等はほんとうに、エリックのことだけを心配して、想っているんだなあ。ほんとエリック果報者だよ・・・僕をむかえてくれる優しい人たちはどこにいるんだろう、とか言ってる場合じゃないよ・・・アンタのまわり優しい人たちしかいないやん・・・。

 

クリスティーヌへの恋心を一生懸命に歌うシャンドン伯爵。伯爵の言葉そっちのけで主役を歌える喜びでいっぱいのクリスティーヌ。微妙に噛みあわない二人の会話。混乱しているの、と不安げにつぶやくクリスティーヌを笑顔で受け入れ、今は混乱しているけれどクリスティーヌも自分に恋しているとミリも疑わないシャンドン伯爵。ともすれば傲慢とも思えるそのゆるぎない自信は、疑念や嫉妬などと云う黒い感情を抱くことない美しい世界で育ってきたことが解る。ある意味お似合いの二人だよね。兄妹のようでもある。

幸せそうに寄りそいながらパリの夜へ駆けてゆく二人の後姿を見つめながら、花束をもってたたずむ望海エリック。クリスティーヌのために自分で摘んできた花たち。クリスティーヌには白が似合うからと白い花ばかりをあつめてブーケにした。成功をいっしょにお祝いしようと思って。今夜のクリスティーヌの歌声は世界一素晴らしかったことをつたえたくて。でも、彼女は光が導くほうへと翔けていってしまった。その背中は遠く、眩しくて、もう、見えない。自分は闇の世界にしか存在することが出来ない。でも、ついこのあいだまで自分の世界にいたクリスティーヌは望めばいつでも光の世界へゆくことが出来る。そうして、君もアイツの光に導かれてゆくのか・・・。シャンドン伯爵とエリックの対比が残酷すぎて胸が苦しくなる。でも、エリックも、彼女の愛を失えば、とか、ちょっと突っ走りすぎなところもあるから、その思込みの激しさ、そういうとこだぞ、と思いながら、でも抱きしめたいよ・・・。花弁が砕け散る映像はエリックの心のようで、コロスの白い娘役ちゃんたちは、望海エリックの乙女心か。

二人に、二人で楽しんでおいで、と煽った(煽ったわけではない)彩風キャリエールパパにはちゃんと責任とって欲しいです。

 

ハーブでつくったちょっとしたモノ。よくみると毒々しい青汁みたいな色してる。舞咲さんのオーバーアクションでそれがどんな毒であるか展開を知らなくても解るから、あのあきらかにいじわるそのものな口調とあわせて、クリスティーヌちゃん少しは疑って!やはりクリステイーヌは生まれたばかりの天使説濃厚。

それにしても、ハーブでつくったちょっとしたモノ。がどんなモノなのかもうずっと初演から気になって仕方がない。そういう人いっぱいいると思う。

 

暗転のなか、一心にオケボックスをオペラでのぞく人多数だと思うので私も遠慮なく望海エリックちゃんのスタンバイをしっかり見護らせて頂いております。クリスティーヌのことが心配すぎて指揮者としてのり込む過保護なエリック先生。やっぱりこのとき西野先生は縛られているのかしら。ちゃんと煌羽オーベロンさまが歌うときは左手を、ハイ!て煌羽くんにむけている仕事はしっかりするエリック。指揮者の才能もある、歌は上手いしダンスも出来るし射撃の腕もいいし格闘だってそこそこ強くて建築の才もある。実はけっこうハイスペックなエリック。生まれる時代が違ったのならもっと違う生き方が出来ただろう。

オーベロンの衣裳は望海さんもかつて着たことがある、懐かしいお衣裳。あのお衣裳は印象的すぎて他のお衣裳にはこの先も変更出来ないだろうな。受け継いでいって欲しい。

永久輝くんにウサミミ・・・のようなエルフの耳長をつけさせるのなんだか罪深いなと思ってしまう。

声が突然でなくなる真彩ちゃんの演技がリアルでドキリ、としてしまう。後姿でも、エリックがめちゃくちゃ心配して焦って何とかしようとしているのがわかる。そしてたまらずオケボックスから姿を現してしまったエリック。あの時点ではカロッタの罠だと云うことに気づいていないのだからあんなに取り乱さなくてもいいと思うのだけれど、自分の感情をコントロールする術を知らないから考えるよりも先に体が動いてしまい、そしたら見つかっちゃったから仕方なく乱闘になってクリスティーヌを連れて行ってしまったと云う、どうしてこうなった的な流れがエリックの運命を破綻させることになる、いや、クリスティーヌと出逢ったときにもうこうなることは決まっていたのかもしれないけれど。

あそこにいるわ!潤花メグちゃんはファントムをみつけがちだよね。子供のほうがやっぱりそういう感度いいのかな・・・やはりエリックちゃんは座敷わらし・・・・・・。(オペラ座が繁栄しているのはエリックちゃんのおかげですね。)

キャリエールさん、あれだけエリック、エリックて名前を呼んでいたら気づかれてしまうよ。でもぜんぜん気づかない真那ルドゥ警部。邪魔をされて拳銃を奪われて、けっきょくその拳銃はファントムの手に渡ってしまう。不審に思おうよ、真那ルドゥ警部・・・どれだけ彩風ジェラルドのこと信じてるの・・・こんなところにもまたひとつキャリエールさんの罪を見つけてしまった。

従者さんたち大活躍。でも真那ルドゥ警部が笙乃従者ちゃんを殴っちゃうのは、違う。真那さんは女の子を殴ったりしないよ解釈違いです!

彩凪シャンドンの手にする剣は精霊の祝福をうけた銀のレイピア、朝美シャンドンの剣は選ばれし勇者だけが手にすることが出来る伝説の剣(その話以前どこかで。)みたいなイメージ。剣を手にする姿ひとつにも少女漫画と少年漫画のような違いがある。役替わりっておもしろい。

従者たちは口がきけないのかなと思いきや、フィリップと格闘しているとき、けっこう声がでているので喋る事は出来るのだと知る。諏訪くんの眼光が鋭くて、その瞳で睨んでいるのはシャンドン伯爵なのか、それとも遠いかつての敵なのか。

カルロッタの持ってきた杯の中の匂いでそれが毒だと解る博識なエリックちゃん。そしてクリスティーヌの楽屋にまさかの仕掛け。プライバシーとかないのかここは。

クリスティーヌ!と、絶叫してセリ下がるシャンドン伯爵。なんだか、次週に続く、て感じがする。

 

眠るクリスティーヌと、悪者からお姫様を救う王子様のように正義感に燃えているエリックをのせて小舟は地下の川を行く。川はこの世とあの世を別つもの。エリックにとっては地上こそが地獄だった。その地獄からクリスティーヌを助けだし、行くのは黄泉の国ではなく、楽園。エリックは二人の楽園へと、漕ぎだすのであった。望海エリックの瞳は希望に輝き、勇壮で、明るくはずむような音楽は、エリックの心そのもののようだった。

 

一幕終わり。二幕につづく。

 

長い。

 

 

雪組『Gato Bonito!!』感想文。

猫と贔屓の出逢い、最高じゃない?かつて『美麗猫』と云うショーがあり、その前には『ヘミングウェイ・レビュー』があり、猫×ショーは今までも存在した。しかしよもやそれを贔屓主演のショーで観る日が来ようとは。猫耳はともかく、望海さんが猫しっぽを装着しちゃったらどうすればいいのと思っていたのですが、いや、だって、しっぽですよ、望海さんにしっぽが生えてるんですよ?!?!?!しかし、猫耳は装着しないとのコトで、わかりやすいアイテムをあえて使用せずに猫を表現すると云う大介先生の挑戦と云うか企みにそわっそわがとまらないままショーの先行画像を目にして、首輪はあるんだ!!!飼い猫ってことなの?誰に飼われているの?ご主人様は誰??ねえ???

 

幕前、猫の鳴声ではじまるの新しいと思った。そして猫の鳴声って緊張感が無いんだな、て事に気がついた・・・。

幕開き、舞台中央からセリあがってきた組長猫さん。トップスターばりにハデなセリ上りに度肝を抜かれたけど、今思うとはなむけだったのかな。次公演はショーがないから、ここでバーンと、専科へ異動になる組長さんへの贈り物だったのかもしれない。こういうことたまにしてくる宝塚の身内感、きらいじゃないです。

組長猫さんのまわりでにゃーにゃー跳ねたりかけずりまわったりじゃれ合っている仔猫ちゃんたちが ♪その名はガート・ボニート、てところで耳に手を当てて、うんうん、て頷いている仕草とっても可愛いんだけど、人間のほうの耳に手を当てていて、そっちの耳でいいんかい?て思った(笑)ここはどうしても野々花さんに目がいってしまう。

仔猫ちゃんには猫耳ついてるのかーて思ったとき、フと、人間の姿をしているけれど子供の頃は猫耳がついていて性交渉をすると猫耳がとれる。と云う設定の漫画を思いだしてしまい、しまい・・・あ、でも、王様猫にも女王様猫にも耳あるわ。邪心退散。

 

オケボックスから銀橋に躍りでてきたオシキャット彩風さんのすさまじい雄感と歌詞。

「何故俺はこんなに熱いんだまるではじめて恋した仔猫のよう純粋に真剣に打ち明けたいのに言葉より体がホットでおさまらない俺のマグマが爆発しそうだ何故なら奴が近づいてきたから奴の名はガートボニート

どういうつもりなの大介。初めて恋をした仔猫のように純粋に真剣に告白してまずは交換日記からおつきあいをはじめようとしたけれど俺のマグマが爆発しそうでもう我慢できないから告白するよりも先にマグマを爆発させちゃうつもりなの???ガートボニートさん逃げて?!?!?!まあ猫のすることだから大目にみて頂きたい、て言いたいのかもしれないけれど大目にみません。何てこと言わせるんだよ。しみじみ歌詞を聴いて赤くなったり青くなったりしたわ。彩風さんも、グッ、と雄度が急激に昂まっていて、どうしたの・・・ダントンの頃はあんなに雄っぽいのにまるで手だしできないウブな少年性さえみせていたのに・・・いまの彩風ダントンだったらあのとき望海マクシムを部屋から帰したりしなかった・・・気がついたら朝チュンだった・・・そして恐怖政治ははじまらなかった・・・今後に期待大。

満を持してガートボニート望海さん登場。まるで千里を翔けてたどりついた森の奥深く花の咲き乱れる園にて、なお何枚ものベールのその向こうにいる高貴な存在にやっと謁見するような気持ちです。猫の尻尾を模したベッドに寝そべる望海さん。舞台の上でうつ伏せで寝そべっているトップスター様なんてそうそう目にすることなんてないよ。だからほんとうに何させてるの大介(二度目)。

ここ、とうとうガートボニートさん以外のまわりのあらゆる事象を観ることが出来なかった。オペラでも肉眼でも。自分の気の多さは自覚しているのにガートボニートさんのテンプテーションの威力はハルマゲドン級だよ。

お衣裳のひらひら部分をお色直しで下手袖へ投げる仕草を優雅だなと思いながら、とてもナチュラルにスッ、と一部分だけ取り外すことのできる、お衣裳部さんの作成するお衣裳は豪華なだけでなく機能美にあふれているといつも感嘆する。このお色直しも魅力的な振付のひとつ。

銀橋の0番で寝っころばって(また!)挑発的な態度とるの、どんだけキケンなコトしてるかわかってないよね無自覚!客席のそこかしこにひそむ獣を目覚めさせるんじゃないかってひやひやしたけどマインド獣は目覚めてすぐ昇天して転生をくりかえすいきおいだったし、銀橋ど真ん中で乙女(?)に足をすわっ、と上げさせる振りとかほんと大介何させるのよ(三回目)憤怒!

望海ガトボニさんが真彩ちゃんのことを突き放して悪戯っ子みたいに微笑いながら上手袖へ去ってゆくの好き。真彩ちゃんの、ま、イタズラな仔猫ちゃんね、みたいな表情も好き。望海さんと真彩ちゃんがならんでいるだけで嬉しいGato Bonito!!トップコンビちゅうの飢えが満たされてゆく。

彩風さんと真彩ちゃんのおでここっつんこ☆が近い近い近いもうお鼻とお鼻がくっついちゃいそうで、あーそうそうにゃんこて挨拶するときお鼻とお鼻をスリッてくっつけ合ったりするするよねー可愛いなあ!真彩ちゃんの、これから夏休みがはじまる子供のようにめいっぱい楽しそうな笑顔が背景に夏の花を背負った少女漫画のヒロインみたいだった。この二人の距離感、最初の頃より楽近くになるにつれどんどん近くなっていったのだけれど、その距離になんかわくわくどきどきしたな。トップ娘役と二番手はトップ娘役とトップとはまた違う関係性があって、その関係性も唯一無二のものだと思うのです。

 

私のクンバンチェロは安蘭けいさんからはじまりました。何言ってんだかわかんないけど何言ってるかはっきり聴こえる!と云う、クンバンチェロの聖典のようなクンバンチェロでした。そして蘭寿さんのクンバンチェロに出逢い、うわー全身全霊でクンバンチェロってる!!!!!クンバンチェロの化身だった。望海さんのクンバンチェロはどんなクンバンチェロだろう。一言一言を的確に放つ生真面目さとクンバンチェロの熱にうかされて土石流のように流されまくる奔放さを併せもつハイブリッドクンバンチェロだった。何かクンバンチェロソムリエみたいなコトになってるけど、宝塚てクンバンチェロけっこう好きだよね。聴いているだけでも難易度高いなて思うのに、演出家は容赦ないと思う。

合いの手と云うかカゲコが男役のドスの利いた声だから全体的にものすごく漢くさいクンバンチェロになっていて、久城さん、橘くん、叶くんが押忍!魁男塾みたいなコトになってた私の頭の中で。望海さんの調子にあわせてカゲコの三人も言い方を毎回変えていて、99のクンバンチェロが存在した。千穐楽スペシャルは、望海「千穐楽!」カゲコトリオ「せんしゅうらく!」望海「ありがとうッ!!!」カゲコトリオ「アリガトウッッッ!!!」もういろいろな意味で涙でた。

 

インテリ作曲家の彩風さん。作曲作業に集中しようとするとアメリカンカールの朝月にゃんがジャマをしにやってくる。あーこれよくあるある。横になって本読んでると本の上にのかってきたり、PCのキーボードの上に寝っ転がったり、ゲームしてるときは冗談じゃなくなったりするヤツだよねあるあるある。そして、何度どかしても絶対にリターンしてくるの。こら!ジャマしない!て怒ってみても、まったく気にしないどころか遊んで遊んでかまってかまって攻撃してくるから、こっちもだんだん怒る気持ちどころか、愛おしさがましてきちゃって、作業中断してにゃんこをかまいはじめる・・・何、この猫飼いあるある・・・・・・なんか途中からただの飼い主とにゃんこみたいなコトになってるけど、これってそう云う設定だっけ?それは知らないけれど、もうこの彩風さんと朝月さんはそんなカンジでとってもハートフルだった!朝月さんが、ニャシシシて笑うの、もうそんな笑い方が似合うの朝月さんしかいない。朝月さんは吉正のミューズだと思っているけれど、大介にとってもそうなのだろうか。このニャシシシて笑い方にデジャヴ@風の次郎吉。ピンクの髪の毛とかけもみみとか(演出家の)あらゆるフェチを朝月さんに背負わせている気がするけれど、それがナチュラルに似合ってしまうの、朝月さんに天性のヲタ媒体気質を感じる。でも、朝月さん自身はまったくヲタ気質が無いと知ったときはちょっと意外だった。この場面の朝月さんのキャラデザすごく藤子不二雄感があってこのシーン全体が藤子不二雄のショートショ-トみたいだなと思う。いつか彩風さんと朝月さんで藤子不二雄のSF(すこしふしぎ)原作モノを演ってほしいな。

二人のまわりでくるくるしてる黒猫ちゃんたちが黒い毛玉みたいでとってもキュート。特に娘役ちゃんたちサンリオのキャラクターみたい。

この、ピアノの鍵盤みたいなロケットのお衣裳がここ最近のロケットお衣裳のなかでもいっち好き。よく視ると、白にゃんこのほうの襟にはパールがついていたりしてとても凝っている。大きなリボンを猫耳に仕立てているのがけもみみ上級者って感じ。このとき一緒にロケットに参加する彩風さんが、にゃんこみたいな、むにー、ていうお口してるの、猫を意識してる?それもとも自然と猫の気持ちになっちゃった?

 

家出して迷子になっちゃった飼い猫のアビシニアンのマリアを探すガトボニさん。“ウチのマリア知りませんか”(特徴:細い首をフリフリする。)チラシを町内の掲示板に貼ったり、マリアの使っていたお茶碗を玄関にそっとおいたり(家出にゃんこが帰ってくるおまじない)夜の町内を探し回るガトボニさん。舞咲にゃんこと早花にゃんこがぶつかって、すわキャットファイトはじまるか?!と思ったところでガトボニさんをみつけてそちらに興味がいっちゃうの、ほんとうに猫っぽい。そんな猫たちに好かれるガトボニさんはとちゅうでノラにゃんこたちにかまってかまって攻撃をされたりして、その中にマリアを探すけれど、違う・・・この子も違う・・・と、なかなかマリアは見つからない。

ここ、杏野さんの猫手が絶妙。猫のように手をまるめて、だけれど猫のモノ真似にはならない、あくまでダンスの振り付けとしての猫の仕草が絶妙だった。バレエで動物や鳥などを表現するときに似ている。上手へ歩いて行く姿も、しっぽをピン、と立てて歩く“クールな猫のような女”だった。みんなそれぞれ個性があって、一匹(?)づつちゃんとしっかり観たかったな。

そうこうしているうちガトボニさんが空き地へやってきたら猫集会の真っ最中。見慣れない人間に興味津々のオスにゃんこたちはガトボニさんににじり寄る。おまえ誰?何しにきたの?かまってくれるの?遊んでくれるの?ごはんくれるのー?猫設定を解除すると、クラブに突然現れたよそ者を値踏みするように挑発的な目で睨める黒いタキシードの男達、その視線を受けながらタンゴを踊りだすガートボニート。このときの望海さんの自信満々得意げな顔と、するどく蹴り上げる足が不穏な空気をいっぺんにあふれるほどの熱に変えた。ショーの場面におけるこういう空気が変わるのがわかる瞬間、とても昂揚する。ダンスの上手いヤツがここでは支配者になるとばかりに、ガートボニートを視る男達の目が憧れや羨望に変わると総踊りがはじまる。彩凪くんの、ジゴロぽいのに粗野なところがなくて強引じゃないダンスが好き。朝美さんは好奇心いっぱいで目をキラッキラさせながらいまにも飛びつきそうなノンストップ感が若猫ぽい。諏訪くんが歌に入る前に挑発的に首をぐるん、てするの、猫のグルーミング・・・てどうしても思ってしまう。男たちと戯れている最中、ガトボニさんはマリアを見つける。この、視線の先にマリアを見つけたときの望海ガトボニさんの笑顔!この場面でその純粋無垢な少年の笑顔は正解なの?!いたー!マリアー!もう、どこ行ってたの!心配したでしょ!!て字幕が見えたよ。真彩マリアと望海ガートボニートはからみついてくるボンベイやタイたちと踊りながら、だけれど視線はたったひとりの相手から少しもそらさずに、見つめ合っている。まるで波に翻弄されるように、近づいては離れ、また近づくと離れる、なかなか近づくことの出来ないふたりが触れ合える距離まで近づいたとき、フイ・・・、と知らん顔をしてガートボニートの横を通りすぎようとするマリア、でも耳だけは大好きなガトボニさんの方を向いている。さ、お家帰るよ、と言うには少し激しすぎるくらいに強く、マリアの手首を掴み、ふたりのタンゴがはじまる。望海さんと真彩ちゃん二人のダンスをみていると、相手によって、1+1が50になったり100になったり120になったりと、ダンスの相性てあるんだなあということがよく解る。今までいろいろなペアのタンゴを観てきたけれど、今は望海さんと真彩ちゃんの正々堂々とした熱血なタンゴがいちばん大好きだ。なんかこう、ふたりで組んで勝負に挑むような、ダブルス、て感じがする。ゴールデンペア!!!

マリアが見つかってよっぽど嬉しかったのか、望海ガートボニートの、劇場すべてをふるえさせる絶唱。望海ガートボニートにひきよせられるようにその脚へと噛みつくみたいに抱きつく真彩マリア。場面のすべてがピタッ、と決まったときの拍手は、わっと思わずしてしまう、そういう種類の拍手だった。

 

朝月さんのヒップとふとももの境目、この凹凸が完璧なのですがいきなり申し訳ありません。でも絵に描きたくなるような理想的スタイルなんですよ。朝月さんの顔は日本の神絵師が描いた二次元絵で身体はアメコミのスーパーガールと云う、もうめちゃくちゃ絵が描きたい欲を刺激してくる。タレ目ちゃんはギャル風メイクが似合うからいっけんギャルメイクぽく見えるけれど、朝月さんはギャルと云うよりもハリウッドヤンキーみがある。メイク顔だけアップにするとギャルっぽいけど引き映像で観るとギャルには似合わない香水が肌にしっくりするようなゴージャス感が否めない。

メニナス仔猫ちゃんの野々花さんがメインクーンデビューしてた。「昼間はアナタの可愛い純白の仔猫ちゃんだけど、夜、アタシは野性のドレスを着て踊るメインクーンになるのよ」(キャッチコピー)あとで奏乃ガート・レイさんに怒られそう。

彩さんはメインクーンのイメージそのもので、まさかのアテ書き。彩メインクーンちゃんは八匹姉妹の末っ子です。あのメインクーンちゃんたちは姉妹です。私がそう決めただけですが。朝美さんは姉妹よりちょっと先に生まれた長男。でもほぼ同時に生まれたから同い歳なんだけど、お兄ちゃん意識が強くて八匹の妹たちを護らなきゃってイキってます。もうみんなまとめて飼いたくなるくらいこのシーンも眼が足りない複眼になりたい。

 

銀橋を組子みんなでパレードするの楽しい。手にしたにゃんこアイテムもねこじゃらしとか肉球スティックとかお魚ちゃん、毛糸玉、羽箒のおもちゃ、“YUKIGUMILK”と書かれた牛乳パックだったり、おもちゃ箱をひっくりかえしたにゃんこたちがそれぞれお気に入りを咥えて走り回っているみたいだった。ニボシとかねずみとか、おもちゃの種類はもうちょっとあってもよかったな。そしてパレードの中に、何か、いる。さりげなく、何かすごいモノたちがまじってる。フツーに銀橋渡ってるけどちょっと待て。仮面で顔隠してもモノが隠し切れてない。「?!?!?!」動揺のまま、ガートボニートさんが、ニャニャニャニャニャニャーッ!!!!!贔屓が公式で「ニャー」て言っちゃうの、信じられる?けもみみパロじゃないんだよ?!公式最大手てこう云うこと、こう云うこと・・・!!!!!

 

女装シーンはひとつくらい入るかなと予想していたのですが、結果、女装シーンはありませんでした。これは女装じゃない。これは女装とは言いません。フタナリは女装とは違います。男の娘でもなく、女装でもなく、フタナリでした。マジ大介ほんとマジお前(四回目)

男役の片鱗をのこしたまま女性のフォルムを隠さない衣裳で現れた彼等は半陰陽、両性具有の美しさのそれで、でも、あえて大介せんせいに敬意を表してフタナリと云う言葉を使いたい。このフェチズムの究極を素知らぬ顔で、しかし絶対に何もかもわかっていてやらかしたに違いないと思っている。

タトゥーのように肌にぴったりとすいつく総レースのパンツスーツの背中は大きくあいていて猫の毛のようにやわらかいファーで飾られている。いろいろな意味で試されるお衣裳。これ、新作かな。他で使われていたことあった?似たようなお衣裳(赤いの)を大和さんが着ていた記憶はある。あれは完璧な女装と云うか、バービー人形だった。

望海ガートボニートさんが四匹の猫に襲いかかっているようにみえて襲われているとしか思えないのは望海ガトボニさん受派閥であるがゆえと云うよりも四匹のにゃんこーズの攻度が強すぎるせいかもしれない。何かもう、四天王猫かよ・・・強い。

 

側室にゃんこさんたちの閨へじゅんばんこに通う(律儀)緋の王子、望海ガトボニさん。ここの、四猫と望海ガトボニさんのからみ方が毎公演違うし、だんだん言葉も交わすようになってきて、二人(二匹?)の関係性の変化や深化、そして場面の進化を感じた。何を言っているのか聴きとろう(唇の動きを読みとろう)としてガン見した。単語は解るときもあれば、やけに長いコトしゃべっているときもあって、読唇術の必要性を切実に感じた。

 

【うるんだ翡翠の双眸からこぼれ堕ちる涙はアナタの心も骨もすべてアトカタモナク溶かします。身体中のすべての体液が酸よりも強くその体液に触れたものを跡形もなく溶かしてしまう、西の宮を護る第四妃、永久輝バーマン】

部屋の扉を開けた途端に、待ってたよ、とばかりにあのいつもの微笑で望海ガトボニさんの胸に飛びつく永久輝にゃんと、それをクールに受け流す望海ガトボニさん。若い雌猫の狡猾さと自分の価値と武器に絶対の自信をもっている永久輝にゃんと、彼の子供のように無邪気な愛くるしさとどんな悪魔も泣いて逃げだすような毒を楽しんでいる望海ガトボニさんとの関係性がそこに観えた(第三の眼で視た)。背中にすがりつく永久輝くんと、それを、じゃれつくなよとばかりに跳ねのける望海ガトボニさんの、あの、「わかってる」感がいい。

 

【耳元で囁くつややかな鳴声は耳から入り込み囁きに秘められた命令は脳へと直接伝えられ菫色の甘く香る吐息に麻痺した肉体はその命令の意のままに動く、南の宮を護る第三妃、朝美ソマリ】

最初から攻め攻めで待ってました早く来い来いとばかりに望海ガトボニさんに挑む朝美にゃん。望海ガトボニさんのじゃっかん押されてる感が愛おしい。頑張れ。望海ガトボニさんと朝美にゃんのどこまで近づけるか限界に挑戦とばかりの接近戦は腕の力と背筋力の勝負だと思う。つくづく、タカラジェンヌてアスリートみたいなとこある・・・と思った。朝美にゃんのアプローチが好き好き大好きて感じに積極的で、実際「好き」て言ってたし、去り行く望海ガトボニさんの背中へのアプローチも「明日も明後日もずっと待ってる」感があって朝美にゃんすごい。

 

【蒼い夜の昏闇のなかで今までいちばん幸福であったときの想い出に抱かれるともう二度とその想い出から帰ることは出来ない。思い出の檻の中で永遠に眠りながらやがて朽ちてゆく、東の宮を護る第二妃、彩凪バーミーズ】

舞台上の関係において望海さんとの接触がいままであまりなかったせいか、そのすこし控えめでためらいがちな様子が、大和撫子・・・。男など幾人も支配することが出来そうな艶やかな瞳の輝きとはうらはらな、そんな彩凪にゃんを特別、心にとめる望海ガトボニさん。次第に心をほどき、そして大胆に開かれてゆく彩凪にゃんとの会話、ちょっと長くない?てくらい後半は二人めっちゃおしゃべりしてた。去り行く望海ガトボニさんがときどき振返って彩凪にゃんに心をおいてゆくみたいな感じ、全猫が嫉妬するよ。

 

【純白の毛並みは一本で100万本の絹糸の価値がある。瞳は宝石、爪はプラチナ、牙は象牙、骨はこの世のあらゆる宝石や金よりも価値のある未知なる物質と言われている生ける宝。しかしその肉体を手に入れようとすると夢の中へとひきずりこまれ精を吸い尽くされる、北の宮を護る第一妃、彩風バリニーズ】

背中で誘う。放り投げた脚のもてあますほどのその長さに、「生ける宝石・・・!」と思ってしまい上記のような設定が。やっと来たね、と、上目遣いで望海ガトボニさんすがりつく彩風にゃんと、てのひらとてのひらで激しくちゅー、したあと、彩風にゃんを突き放す望海ガトボニさん。地に伏した彩風にゃんが恨めしそうに睨めつけながら望海ガトボニさんを仰いで懇願すると望海ガトボニさんは我が意を得たりと微笑むのだけれど、そのとき実は彩風にゃんが「屈辱」と思っていると知って、すがるような眼をして実は、「いつか俺のマグマを爆発させて啼かせてやるからな覚悟しておけよガートボニート」とか思っているのかと思うと興奮した。馬乗りになって彩風にゃんの首筋に、ガブリ、と噛みつく望海ガトボニさん。猫同士におけるこの行為を検索すると興味深いことが解ります。噛みつかれたときの彩風さんの恍惚とした顔はいろいろアウトだと思うのだけれど、まあ、猫だから・・・セーフ。いや、ダメだろ。

 

ほんとうに観たのか白昼夢なのかあやしい部分満載の感想を記しましたが、特異体質を持つ四人の攻撃をすべて無効にしてしまう唯一の存在がガートボニート。と云うどこまでもひろがる二次創作の話はまたの機会に。

 

銀橋で望海ガトボニさんにいろいろなモーションをかける彩風白猫にゃん。これも公演のたびに違うからほんとうにもうBDに全収録しよう。ビジネス感アリアリなときと、ドキっとするくらい本気にみえるときと、正妻、真彩ハバナちゃんをからかってみたり、悪戯な白咲にゃん。望海ガトボニさんにちょっかいだす白咲にゃん、それをみてシャーッて威嚇する真彩にゃん、この三つ巴の構図がとっても好きだー。

 

コパカバーナ!テンションあがる!望海さんの声咆にまけないくらい真彩ちゃんの声も深くていっぱいで、ああ、好きな望海&真彩がふえてゆく・・・。熱い暑い夏の日々と、常夏のコパカバーナ、忘れられないな、と思った。

コパカバーナと云えば、あの『コパカバーナ』・・・好きなんです。「来てよ男―!」ピアノの上で歌う真彩ちゃんとか、ちょっと良いんじゃないかな?!

 

久城さんのソロが欲しいとずっと思っていた。真那、久城 煌羽のトリオは雪組の粋を集めた感がある。最初のほう(大劇場初見時)は、久城くんもうすこし自分を押しだしてもいいのでは、真ん中であることにどかん、とのっかるのもアリ、と思いながら東京公演、楽近くになるにつれどんどんアグレッシブになってきて隠しきれない攻度がましてゆくのを観るのはとても嬉しかったし、楽しかった。同じ間違いは二度としない、と、間違ったコトを紙に書きだして自戒の念と共に化粧前に貼っておくと云うストイックな舞台への姿勢、そして、キャラは破天荒だけれど役者としての誠実さ、久城くんのそう云うところがとても好きです。久城くん語りになってしまった。

煌羽さんの情の欠片もなさそうな、ほんとうは相手の女の子のことなんてオヤツくらいにしか思ってないんでしょ的なオーラとはうらはらに、踊るときのダンスそのものに対する真摯さに、この人の本命はダンスなんだ、と悟った。女よりダンスが好き。

真那さんがめくれてしまった娘役ちゃんのスカートをさり気なくささっとなおすの、そのあまりにも紳士的なスマートさに客席は大いなる好意を感じていたわけですが、その行為、この場面のコンセプト的に合っていないのでは?と思いつつ、それが真那春人と云う人なのだとすべてにおいて納得する。

シンガプーラはけっこうやんちゃであまえたちゃんな猫らしいのだけれど、沙月愛奈さんの攻めたくなるような上目遣いは、逃げながら誘うにゃんこの甘えた術のそれだった。沙月さんの昼下がり感にそわそわする今日この頃です。

けっこう笙乃茅桜ちゃんはやんちゃ系なのかな?!もしかして想定外にスカートがめくれてしまうが故の真那さんの紳士発動だったのだろうか。やわらかい鋼のような身体が自由に跳んだりくるくるとまわったり折り紙のようにいろいろなカタチになる笙野さんのダンスに惹かれる。

 

客席からにゃーにゃー鳴きながら登場するトップスター様とかアリ?!劇場ににゃんこが迷い込んできちゃったのかと思ったよ(盛ってる)ガトボニさんのお散歩道の通路席に座った日、望海ガトボニさんの肉球にふれてしまった・・・サラッとしてた。そのときガトボニさんの尻尾(黒いもふっもふ)が、するり、と手首をなでていったのだけれど、すっごいさわりごこちよかった。なんて上等な毛並みなの!ガトボニさん!

ここもBDに全収録して欲しい。私が観たときのぜんぶ可愛かったから観てないときのもぜんぶ可愛かったんだと思う。ガトボニさんの夏の自由研究、99回のアドリブ(と云うか日替わりネタ)を、貝殻や縁日の指輪、マタタビやカケスの羽根といっしょにキレイなお菓子の空き箱につめてサテンのリボンをかけて、夏の想いでとして2018年の夏の記憶と共にしまっておきたい。

望海ガトボニさんが「恋人いないんです、」と言ったときの真彩にゃんの、ふにゃ?!アタシは?!て、毛をぶわっと逆立ててお耳がピーンとなっちゃってるのも可愛かったし、何処から来たかの問いかけに応えたお客さんからの「愛媛!」に、「愛媛といえば雪組の彩風咲奈をよろしくお願いしまーす!」としっかり咲ちゃん推している望海ガトボニさんは最高だったし、プー斗さんはリベンジする必要あったかな?!でもそういうド真面目なトコロが好き!でもディ●ニーからおこられたりしないこれ???そして、あの、・・・ガトえもんは、衝撃でした・・・。ちゃんと大山のぶ代の声になっとる!!!しかもけっこう似てる!!!!!いまだかつてドラ●もんの真似を完璧にしてみせたトップスターていた・・・?めちゃくちゃ動揺したわ。どう反応していいのか戸惑ったけど笑うところなので笑った。実際、とても面白かったし、似ていたし、いや似ていたからこんなに動揺したんだよ。この日のことは忘れない。千穐楽は、銀橋の三人にむかって深々とお辞儀をしながら「ありがとうございましたー。」三人もあわててお辞儀してた。望海ガトボニさんと真彩、朝美、永久輝のスリーにゃんこーずたち、いいチームだったなあ。望海さん観たいけど銀橋のにゃんこーずたちも観たくて、一瞬だけ複眼になった日々でした。

 

セリ上がるサバンナ、彩凪さんの背中にどこまでも果てしなくひろがる乾いた大地が視えた。激しい砂嵐のように歌う彩凪さんの、この大地に生きる生命すべてを愛しむような歌声は強いけれど優しくて、すこし痛みを感じた。彩凪さんの眼は強いのに憂いていて、彩凪さんのキャラ属性が一枠でくくれないところってこういうところなんだよな、と思う。(受なのか攻なのか決めかねている。)

さっき、ぼく、ガトえもん~~~~~、とか言ってた人とおなじ人かな???お衣裳やかつらを変えるようにオーラまで一瞬でメタモルフォーゼさせてしまう、役者だなと思う。ショーのなかにも役者としての望海さんをいつも感じている。そしてそのオーラは波及して劇場を呑みこむ。神となり舞台の昂みに現れた望海ガートボニート、十字架に磔にされ見えない血を流している、そんなイメージだった。そう考えると、“今日、裏切られても” この歌詞につながるものがある。あのなかに、ユダはいたのか。裏切ったのは誰。でも、神の子は、“明日良いことがある” 誰も咎めはしない。すべては明日への糧となるのだから。なんと云うこじつけだろう我ながら!でもうまくつながった気がする。ここ、阿修羅のような目の色をして、とても清かに微笑うときがあって、怒りに激昂しているようでもあり、すべてを愛しんでいるようでもある。望海さんの歌声にはカタルシスがある。こう云う言い方はあまり好きではないけれど、すとんとハマる言葉が今、見つからなくて。セリ下がってゆくときの望海ガートボニートの笑顔は今日沈んでもまた明日昇る太陽のよう。奈落にきえてゆくその瞬間まで、指先の爪の先、神経の先端まで、美しかった。

それにしても宝塚のショーて最後みんな神になるよね。神様、オールマイティなオチに使われすぎ。

 

美しい夢をみた、すべては夢・・・、と、王様猫と女王猫が目覚めの扉を開く。夢は終り、さあ、お帰り・・・あなたの世界へ、と、それは観客が夢のようなショーから現実世界へと戻る時間が近いコトを知らされるときでもある。この場面になると、ああ、もうすぐ終わってしまう・・・と、思ってた。切ない。潤華メナニスちゃんが、サヨナラマタイツカアイマショウ、とばかりにお見送りしてくれるのが慰めだった。この潤はにゃん、可愛すぎない?!おうちに連れて帰りたい絶対ちゃんと世話するからお願い!

 

夢からの帰路を導くのがヒマラヤンの永久輝、星南、彩。それぞれ別の道へと連れていかれそうだし何かぜったいヤバい気がしないでもないけど、水色のお衣裳が清々しく、愛くるしいトリオだった。新書館系の少女漫画誌の表紙みたい。

 

かまってーだっこしてーおふとんにいれてーってむらがるにゃんこたちに、そんなに欲しがるなら今夜だけは抱いてあげるから、てにゃんこたちをお布団の中に入れてあげる望海ガトボニさん。お布団の中でにゃんこたちは自由。ちょ、爪立てないで、イタタ、噛まないで、・・・あっつい!!! けっきょく、にゃんこちゃんたちはお布団の中から追い出されました。みたいな歌詞の解釈。(猫から離れて。)

望海さんにむらがり、望海さんのうえを這う女たちは夢魔のよう。夢から醒めたはずなのにここはまだ夢のなかなのか。醒めたくない夢のなかで夢魔たちの罠にかかったように娘役たちと踊る望海ガートボニートさんはひとりひとり、ちゃんとまなざしをそそいで愛をわけあたえている様子が、どこまでも誠実で、とても好きなところ。

男役との総踊りはありったけの男役芸をこれでもかと云うくらい盛りにもってきて、それに解放たれた野生をさらに盛って魅せてきた。男役のかけ声と云うか咆哮がとびかうのすごくわっくわくする。誰よりも深く腰をおとす望海さんに、遺伝子・・・!と思わずにはいられない。紫と黒の組合せのお衣裳はゴチックで、とても映える。紫、猫、210・・・某家の四男を思いださずにはいられなかったよ。余談。

 

デュエットダンス。宝塚のショーのなかでいちばん好きなのをひとつ、と言われたらデュエダンと答えます。情熱的なのもいいしファンタジィもいい。望海真彩のデュエダンはふたりが同志と感じるのがとても好き。愛しても恋しても、どちらかがその道のあとからついてゆくのではなく、共に並んで歩んで行く、そう云う関係。そして藤井くんのデュエダンはそのトップコンビに対する藤井くんの見解をみることが出来るので、そうか、藤井くんの考える望海真彩はこうなのか・・・了解。藤井くんてもしかしてトップコンビちゅうなのかな。少なくともトップコンビちゅうの気持ちはよく理解してくれているよね。飢えていたトップコンビちゅうの飢餓感を満たさんばかりに望海真彩望海真彩望海真彩の金太郎飴状態のショーだった・・・。有難う、藤井くん。忘れないよサンキュー!!!

 

愛すみれちゃんのエトワールよかった!やはりエトワールは歌うまの娘役さんが担うべきだと思う。

シャンシャンはねこじゃらし。ねこじゃらし・・・すごい。まさかねこじゃらしがモチーフになるとは。この、望海さんバージョンのシャンシャン(赤が二本で紫が一本)のミニチュア版を友人が作ってくれたんです!むっちゃかわいいの!公演中、バッグチャームとしてつけてた。もっふもふであつくるしかったけど。笑。

フィナーレのパレードの歌詞で、♪~誰かに裏切られても明日良いことがある、明日―!て歌っちゃうの、前向きなんだか切ないんだかわかんないな。

トップさんが二番手さんと、相手役さんと、挨拶するの好き。大きな羽がわっさわさと銀橋をわたってゆく光景はとてもいい。

千穐楽の挨拶は、「サリュー」凱旋門からの乾杯。自分で号令をかけておいて、「・・・、・・・ぼーっとしちゃって、」と、すっかり気のゆるゆるな望海さん。Cawaii・・・・・・。無事に並走することが出来て、私もぼーっとした。卒業生の挨拶といっしょに、私もこの光景を忘れません、と。皆も忘れないでしょう。

幕が降りる瞬間まで、みんなおおはしゃぎしていて、それぞれパフォーマンスと云うか、自由だった。2018年、平成最後の夏、とても楽しい公演でした。にゃーお!

 

あとで何か気がついたら書き足します!