裏庭

宝塚。舞台いろいろ。

雪組『Gato Bonito!!』感想文。

猫と贔屓の出逢い、最高じゃない?かつて『美麗猫』と云うショーがあり、その前には『ヘミングウェイ・レビュー』があり、猫×ショーは今までも存在した。しかしよもやそれを贔屓主演のショーで観る日が来ようとは。猫耳はともかく、望海さんが猫しっぽを装着しちゃったらどうすればいいのと思っていたのですが、いや、だって、しっぽですよ、望海さんにしっぽが生えてるんですよ?!?!?!しかし、猫耳は装着しないとのコトで、わかりやすいアイテムをあえて使用せずに猫を表現すると云う大介先生の挑戦と云うか企みにそわっそわがとまらないままショーの先行画像を目にして、首輪はあるんだ!!!飼い猫ってことなの?誰に飼われているの?ご主人様は誰??ねえ???

 

幕前、猫の鳴声ではじまるの新しいと思った。そして猫の鳴声って緊張感が無いんだな、て事に気がついた・・・。

幕開き、舞台中央からセリあがってきた組長猫さん。トップスターばりにハデなセリ上りに度肝を抜かれたけど、今思うとはなむけだったのかな。次公演はショーがないから、ここでバーンと、専科へ異動になる組長さんへの贈り物だったのかもしれない。こういうことたまにしてくる宝塚の身内感、きらいじゃないです。

組長猫さんのまわりでにゃーにゃー跳ねたりかけずりまわったりじゃれ合っている仔猫ちゃんたちが ♪その名はガート・ボニート、てところで耳に手を当てて、うんうん、て頷いている仕草とっても可愛いんだけど、人間のほうの耳に手を当てていて、そっちの耳でいいんかい?て思った(笑)ここはどうしても野々花さんに目がいってしまう。

仔猫ちゃんには猫耳ついてるのかーて思ったとき、フと、人間の姿をしているけれど子供の頃は猫耳がついていて性交渉をすると猫耳がとれる。と云う設定の漫画を思いだしてしまい、しまい・・・あ、でも、王様猫にも女王様猫にも耳あるわ。邪心退散。

 

オケボックスから銀橋に躍りでてきたオシキャット彩風さんのすさまじい雄感と歌詞。

「何故俺はこんなに熱いんだまるではじめて恋した仔猫のよう純粋に真剣に打ち明けたいのに言葉より体がホットでおさまらない俺のマグマが爆発しそうだ何故なら奴が近づいてきたから奴の名はガートボニート

どういうつもりなの大介。初めて恋をした仔猫のように純粋に真剣に告白してまずは交換日記からおつきあいをはじめようとしたけれど俺のマグマが爆発しそうでもう我慢できないから告白するよりも先にマグマを爆発させちゃうつもりなの???ガートボニートさん逃げて?!?!?!まあ猫のすることだから大目にみて頂きたい、て言いたいのかもしれないけれど大目にみません。何てこと言わせるんだよ。しみじみ歌詞を聴いて赤くなったり青くなったりしたわ。彩風さんも、グッ、と雄度が急激に昂まっていて、どうしたの・・・ダントンの頃はあんなに雄っぽいのにまるで手だしできないウブな少年性さえみせていたのに・・・いまの彩風ダントンだったらあのとき望海マクシムを部屋から帰したりしなかった・・・気がついたら朝チュンだった・・・そして恐怖政治ははじまらなかった・・・今後に期待大。

満を持してガートボニート望海さん登場。まるで千里を翔けてたどりついた森の奥深く花の咲き乱れる園にて、なお何枚ものベールのその向こうにいる高貴な存在にやっと謁見するような気持ちです。猫の尻尾を模したベッドに寝そべる望海さん。舞台の上でうつ伏せで寝そべっているトップスター様なんてそうそう目にすることなんてないよ。だからほんとうに何させてるの大介(二度目)。

ここ、とうとうガートボニートさん以外のまわりのあらゆる事象を観ることが出来なかった。オペラでも肉眼でも。自分の気の多さは自覚しているのにガートボニートさんのテンプテーションの威力はハルマゲドン級だよ。

お衣裳のひらひら部分をお色直しで下手袖へ投げる仕草を優雅だなと思いながら、とてもナチュラルにスッ、と一部分だけ取り外すことのできる、お衣裳部さんの作成するお衣裳は豪華なだけでなく機能美にあふれているといつも感嘆する。このお色直しも魅力的な振付のひとつ。

銀橋の0番で寝っころばって(また!)挑発的な態度とるの、どんだけキケンなコトしてるかわかってないよね無自覚!客席のそこかしこにひそむ獣を目覚めさせるんじゃないかってひやひやしたけどマインド獣は目覚めてすぐ昇天して転生をくりかえすいきおいだったし、銀橋ど真ん中で乙女(?)に足をすわっ、と上げさせる振りとかほんと大介何させるのよ(三回目)憤怒!

望海ガトボニさんが真彩ちゃんのことを突き放して悪戯っ子みたいに微笑いながら上手袖へ去ってゆくの好き。真彩ちゃんの、ま、イタズラな仔猫ちゃんね、みたいな表情も好き。望海さんと真彩ちゃんがならんでいるだけで嬉しいGato Bonito!!トップコンビちゅうの飢えが満たされてゆく。

彩風さんと真彩ちゃんのおでここっつんこ☆が近い近い近いもうお鼻とお鼻がくっついちゃいそうで、あーそうそうにゃんこて挨拶するときお鼻とお鼻をスリッてくっつけ合ったりするするよねー可愛いなあ!真彩ちゃんの、これから夏休みがはじまる子供のようにめいっぱい楽しそうな笑顔が背景に夏の花を背負った少女漫画のヒロインみたいだった。この二人の距離感、最初の頃より楽近くになるにつれどんどん近くなっていったのだけれど、その距離になんかわくわくどきどきしたな。トップ娘役と二番手はトップ娘役とトップとはまた違う関係性があって、その関係性も唯一無二のものだと思うのです。

 

私のクンバンチェロは安蘭けいさんからはじまりました。何言ってんだかわかんないけど何言ってるかはっきり聴こえる!と云う、クンバンチェロの聖典のようなクンバンチェロでした。そして蘭寿さんのクンバンチェロに出逢い、うわー全身全霊でクンバンチェロってる!!!!!クンバンチェロの化身だった。望海さんのクンバンチェロはどんなクンバンチェロだろう。一言一言を的確に放つ生真面目さとクンバンチェロの熱にうかされて土石流のように流されまくる奔放さを併せもつハイブリッドクンバンチェロだった。何かクンバンチェロソムリエみたいなコトになってるけど、宝塚てクンバンチェロけっこう好きだよね。聴いているだけでも難易度高いなて思うのに、演出家は容赦ないと思う。

合いの手と云うかカゲコが男役のドスの利いた声だから全体的にものすごく漢くさいクンバンチェロになっていて、久城さん、橘くん、叶くんが押忍!魁男塾みたいなコトになってた私の頭の中で。望海さんの調子にあわせてカゲコの三人も言い方を毎回変えていて、99のクンバンチェロが存在した。千穐楽スペシャルは、望海「千穐楽!」カゲコトリオ「せんしゅうらく!」望海「ありがとうッ!!!」カゲコトリオ「アリガトウッッッ!!!」もういろいろな意味で涙でた。

 

インテリ作曲家の彩風さん。作曲作業に集中しようとするとアメリカンカールの朝月にゃんがジャマをしにやってくる。あーこれよくあるある。横になって本読んでると本の上にのかってきたり、PCのキーボードの上に寝っ転がったり、ゲームしてるときは冗談じゃなくなったりするヤツだよねあるあるある。そして、何度どかしても絶対にリターンしてくるの。こら!ジャマしない!て怒ってみても、まったく気にしないどころか遊んで遊んでかまってかまって攻撃してくるから、こっちもだんだん怒る気持ちどころか、愛おしさがましてきちゃって、作業中断してにゃんこをかまいはじめる・・・何、この猫飼いあるある・・・・・・なんか途中からただの飼い主とにゃんこみたいなコトになってるけど、これってそう云う設定だっけ?それは知らないけれど、もうこの彩風さんと朝月さんはそんなカンジでとってもハートフルだった!朝月さんが、ニャシシシて笑うの、もうそんな笑い方が似合うの朝月さんしかいない。朝月さんは吉正のミューズだと思っているけれど、大介にとってもそうなのだろうか。このニャシシシて笑い方にデジャヴ@風の次郎吉。ピンクの髪の毛とかけもみみとか(演出家の)あらゆるフェチを朝月さんに背負わせている気がするけれど、それがナチュラルに似合ってしまうの、朝月さんに天性のヲタ媒体気質を感じる。でも、朝月さん自身はまったくヲタ気質が無いと知ったときはちょっと意外だった。この場面の朝月さんのキャラデザすごく藤子不二雄感があってこのシーン全体が藤子不二雄のショートショ-トみたいだなと思う。いつか彩風さんと朝月さんで藤子不二雄のSF(すこしふしぎ)原作モノを演ってほしいな。

二人のまわりでくるくるしてる黒猫ちゃんたちが黒い毛玉みたいでとってもキュート。特に娘役ちゃんたちサンリオのキャラクターみたい。

この、ピアノの鍵盤みたいなロケットのお衣裳がここ最近のロケットお衣裳のなかでもいっち好き。よく視ると、白にゃんこのほうの襟にはパールがついていたりしてとても凝っている。大きなリボンを猫耳に仕立てているのがけもみみ上級者って感じ。このとき一緒にロケットに参加する彩風さんが、にゃんこみたいな、むにー、ていうお口してるの、猫を意識してる?それもとも自然と猫の気持ちになっちゃった?

 

家出して迷子になっちゃった飼い猫のアビシニアンのマリアを探すガトボニさん。“ウチのマリア知りませんか”(特徴:細い首をフリフリする。)チラシを町内の掲示板に貼ったり、マリアの使っていたお茶碗を玄関にそっとおいたり(家出にゃんこが帰ってくるおまじない)夜の町内を探し回るガトボニさん。舞咲にゃんこと早花にゃんこがぶつかって、すわキャットファイトはじまるか?!と思ったところでガトボニさんをみつけてそちらに興味がいっちゃうの、ほんとうに猫っぽい。そんな猫たちに好かれるガトボニさんはとちゅうでノラにゃんこたちにかまってかまって攻撃をされたりして、その中にマリアを探すけれど、違う・・・この子も違う・・・と、なかなかマリアは見つからない。

ここ、杏野さんの猫手が絶妙。猫のように手をまるめて、だけれど猫のモノ真似にはならない、あくまでダンスの振り付けとしての猫の仕草が絶妙だった。バレエで動物や鳥などを表現するときに似ている。上手へ歩いて行く姿も、しっぽをピン、と立てて歩く“クールな猫のような女”だった。みんなそれぞれ個性があって、一匹(?)づつちゃんとしっかり観たかったな。

そうこうしているうちガトボニさんが空き地へやってきたら猫集会の真っ最中。見慣れない人間に興味津々のオスにゃんこたちはガトボニさんににじり寄る。おまえ誰?何しにきたの?かまってくれるの?遊んでくれるの?ごはんくれるのー?猫設定を解除すると、クラブに突然現れたよそ者を値踏みするように挑発的な目で睨める黒いタキシードの男達、その視線を受けながらタンゴを踊りだすガートボニート。このときの望海さんの自信満々得意げな顔と、するどく蹴り上げる足が不穏な空気をいっぺんにあふれるほどの熱に変えた。ショーの場面におけるこういう空気が変わるのがわかる瞬間、とても昂揚する。ダンスの上手いヤツがここでは支配者になるとばかりに、ガートボニートを視る男達の目が憧れや羨望に変わると総踊りがはじまる。彩凪くんの、ジゴロぽいのに粗野なところがなくて強引じゃないダンスが好き。朝美さんは好奇心いっぱいで目をキラッキラさせながらいまにも飛びつきそうなノンストップ感が若猫ぽい。諏訪くんが歌に入る前に挑発的に首をぐるん、てするの、猫のグルーミング・・・てどうしても思ってしまう。男たちと戯れている最中、ガトボニさんはマリアを見つける。この、視線の先にマリアを見つけたときの望海ガトボニさんの笑顔!この場面でその純粋無垢な少年の笑顔は正解なの?!いたー!マリアー!もう、どこ行ってたの!心配したでしょ!!て字幕が見えたよ。真彩マリアと望海ガートボニートはからみついてくるボンベイやタイたちと踊りながら、だけれど視線はたったひとりの相手から少しもそらさずに、見つめ合っている。まるで波に翻弄されるように、近づいては離れ、また近づくと離れる、なかなか近づくことの出来ないふたりが触れ合える距離まで近づいたとき、フイ・・・、と知らん顔をしてガートボニートの横を通りすぎようとするマリア、でも耳だけは大好きなガトボニさんの方を向いている。さ、お家帰るよ、と言うには少し激しすぎるくらいに強く、マリアの手首を掴み、ふたりのタンゴがはじまる。望海さんと真彩ちゃん二人のダンスをみていると、相手によって、1+1が50になったり100になったり120になったりと、ダンスの相性てあるんだなあということがよく解る。今までいろいろなペアのタンゴを観てきたけれど、今は望海さんと真彩ちゃんの正々堂々とした熱血なタンゴがいちばん大好きだ。なんかこう、ふたりで組んで勝負に挑むような、ダブルス、て感じがする。ゴールデンペア!!!

マリアが見つかってよっぽど嬉しかったのか、望海ガートボニートの、劇場すべてをふるえさせる絶唱。望海ガートボニートにひきよせられるようにその脚へと噛みつくみたいに抱きつく真彩マリア。場面のすべてがピタッ、と決まったときの拍手は、わっと思わずしてしまう、そういう種類の拍手だった。

 

朝月さんのヒップとふとももの境目、この凹凸が完璧なのですがいきなり申し訳ありません。でも絵に描きたくなるような理想的スタイルなんですよ。朝月さんの顔は日本の神絵師が描いた二次元絵で身体はアメコミのスーパーガールと云う、もうめちゃくちゃ絵が描きたい欲を刺激してくる。タレ目ちゃんはギャル風メイクが似合うからいっけんギャルメイクぽく見えるけれど、朝月さんはギャルと云うよりもハリウッドヤンキーみがある。メイク顔だけアップにするとギャルっぽいけど引き映像で観るとギャルには似合わない香水が肌にしっくりするようなゴージャス感が否めない。

メニナス仔猫ちゃんの野々花さんがメインクーンデビューしてた。「昼間はアナタの可愛い純白の仔猫ちゃんだけど、夜、アタシは野性のドレスを着て踊るメインクーンになるのよ」(キャッチコピー)あとで奏乃ガート・レイさんに怒られそう。

彩さんはメインクーンのイメージそのもので、まさかのアテ書き。彩メインクーンちゃんは八匹姉妹の末っ子です。あのメインクーンちゃんたちは姉妹です。私がそう決めただけですが。朝美さんは姉妹よりちょっと先に生まれた長男。でもほぼ同時に生まれたから同い歳なんだけど、お兄ちゃん意識が強くて八匹の妹たちを護らなきゃってイキってます。もうみんなまとめて飼いたくなるくらいこのシーンも眼が足りない複眼になりたい。

 

銀橋を組子みんなでパレードするの楽しい。手にしたにゃんこアイテムもねこじゃらしとか肉球スティックとかお魚ちゃん、毛糸玉、羽箒のおもちゃ、“YUKIGUMILK”と書かれた牛乳パックだったり、おもちゃ箱をひっくりかえしたにゃんこたちがそれぞれお気に入りを咥えて走り回っているみたいだった。ニボシとかねずみとか、おもちゃの種類はもうちょっとあってもよかったな。そしてパレードの中に、何か、いる。さりげなく、何かすごいモノたちがまじってる。フツーに銀橋渡ってるけどちょっと待て。仮面で顔隠してもモノが隠し切れてない。「?!?!?!」動揺のまま、ガートボニートさんが、ニャニャニャニャニャニャーッ!!!!!贔屓が公式で「ニャー」て言っちゃうの、信じられる?けもみみパロじゃないんだよ?!公式最大手てこう云うこと、こう云うこと・・・!!!!!

 

女装シーンはひとつくらい入るかなと予想していたのですが、結果、女装シーンはありませんでした。これは女装じゃない。これは女装とは言いません。フタナリは女装とは違います。男の娘でもなく、女装でもなく、フタナリでした。マジ大介ほんとマジお前(四回目)

男役の片鱗をのこしたまま女性のフォルムを隠さない衣裳で現れた彼等は半陰陽、両性具有の美しさのそれで、でも、あえて大介せんせいに敬意を表してフタナリと云う言葉を使いたい。このフェチズムの究極を素知らぬ顔で、しかし絶対に何もかもわかっていてやらかしたに違いないと思っている。

タトゥーのように肌にぴったりとすいつく総レースのパンツスーツの背中は大きくあいていて猫の毛のようにやわらかいファーで飾られている。いろいろな意味で試されるお衣裳。これ、新作かな。他で使われていたことあった?似たようなお衣裳(赤いの)を大和さんが着ていた記憶はある。あれは完璧な女装と云うか、バービー人形だった。

望海ガートボニートさんが四匹の猫に襲いかかっているようにみえて襲われているとしか思えないのは望海ガトボニさん受派閥であるがゆえと云うよりも四匹のにゃんこーズの攻度が強すぎるせいかもしれない。何かもう、四天王猫かよ・・・強い。

 

側室にゃんこさんたちの閨へじゅんばんこに通う(律儀)緋の王子、望海ガトボニさん。ここの、四猫と望海ガトボニさんのからみ方が毎公演違うし、だんだん言葉も交わすようになってきて、二人(二匹?)の関係性の変化や深化、そして場面の進化を感じた。何を言っているのか聴きとろう(唇の動きを読みとろう)としてガン見した。単語は解るときもあれば、やけに長いコトしゃべっているときもあって、読唇術の必要性を切実に感じた。

 

【うるんだ翡翠の双眸からこぼれ堕ちる涙はアナタの心も骨もすべてアトカタモナク溶かします。身体中のすべての体液が酸よりも強くその体液に触れたものを跡形もなく溶かしてしまう、西の宮を護る第四妃、永久輝バーマン】

部屋の扉を開けた途端に、待ってたよ、とばかりにあのいつもの微笑で望海ガトボニさんの胸に飛びつく永久輝にゃんと、それをクールに受け流す望海ガトボニさん。若い雌猫の狡猾さと自分の価値と武器に絶対の自信をもっている永久輝にゃんと、彼の子供のように無邪気な愛くるしさとどんな悪魔も泣いて逃げだすような毒を楽しんでいる望海ガトボニさんとの関係性がそこに観えた(第三の眼で視た)。背中にすがりつく永久輝くんと、それを、じゃれつくなよとばかりに跳ねのける望海ガトボニさんの、あの、「わかってる」感がいい。

 

【耳元で囁くつややかな鳴声は耳から入り込み囁きに秘められた命令は脳へと直接伝えられ菫色の甘く香る吐息に麻痺した肉体はその命令の意のままに動く、南の宮を護る第三妃、朝美ソマリ】

最初から攻め攻めで待ってました早く来い来いとばかりに望海ガトボニさんに挑む朝美にゃん。望海ガトボニさんのじゃっかん押されてる感が愛おしい。頑張れ。望海ガトボニさんと朝美にゃんのどこまで近づけるか限界に挑戦とばかりの接近戦は腕の力と背筋力の勝負だと思う。つくづく、タカラジェンヌてアスリートみたいなとこある・・・と思った。朝美にゃんのアプローチが好き好き大好きて感じに積極的で、実際「好き」て言ってたし、去り行く望海ガトボニさんの背中へのアプローチも「明日も明後日もずっと待ってる」感があって朝美にゃんすごい。

 

【蒼い夜の昏闇のなかで今までいちばん幸福であったときの想い出に抱かれるともう二度とその想い出から帰ることは出来ない。思い出の檻の中で永遠に眠りながらやがて朽ちてゆく、東の宮を護る第二妃、彩凪バーミーズ】

舞台上の関係において望海さんとの接触がいままであまりなかったせいか、そのすこし控えめでためらいがちな様子が、大和撫子・・・。男など幾人も支配することが出来そうな艶やかな瞳の輝きとはうらはらな、そんな彩凪にゃんを特別、心にとめる望海ガトボニさん。次第に心をほどき、そして大胆に開かれてゆく彩凪にゃんとの会話、ちょっと長くない?てくらい後半は二人めっちゃおしゃべりしてた。去り行く望海ガトボニさんがときどき振返って彩凪にゃんに心をおいてゆくみたいな感じ、全猫が嫉妬するよ。

 

【純白の毛並みは一本で100万本の絹糸の価値がある。瞳は宝石、爪はプラチナ、牙は象牙、骨はこの世のあらゆる宝石や金よりも価値のある未知なる物質と言われている生ける宝。しかしその肉体を手に入れようとすると夢の中へとひきずりこまれ精を吸い尽くされる、北の宮を護る第一妃、彩風バリニーズ】

背中で誘う。放り投げた脚のもてあますほどのその長さに、「生ける宝石・・・!」と思ってしまい上記のような設定が。やっと来たね、と、上目遣いで望海ガトボニさんすがりつく彩風にゃんと、てのひらとてのひらで激しくちゅー、したあと、彩風にゃんを突き放す望海ガトボニさん。地に伏した彩風にゃんが恨めしそうに睨めつけながら望海ガトボニさんを仰いで懇願すると望海ガトボニさんは我が意を得たりと微笑むのだけれど、そのとき実は彩風にゃんが「屈辱」と思っていると知って、すがるような眼をして実は、「いつか俺のマグマを爆発させて啼かせてやるからな覚悟しておけよガートボニート」とか思っているのかと思うと興奮した。馬乗りになって彩風にゃんの首筋に、ガブリ、と噛みつく望海ガトボニさん。猫同士におけるこの行為を検索すると興味深いことが解ります。噛みつかれたときの彩風さんの恍惚とした顔はいろいろアウトだと思うのだけれど、まあ、猫だから・・・セーフ。いや、ダメだろ。

 

ほんとうに観たのか白昼夢なのかあやしい部分満載の感想を記しましたが、特異体質を持つ四人の攻撃をすべて無効にしてしまう唯一の存在がガートボニート。と云うどこまでもひろがる二次創作の話はまたの機会に。

 

銀橋で望海ガトボニさんにいろいろなモーションをかける彩風白猫にゃん。これも公演のたびに違うからほんとうにもうBDに全収録しよう。ビジネス感アリアリなときと、ドキっとするくらい本気にみえるときと、正妻、真彩ハバナちゃんをからかってみたり、悪戯な白咲にゃん。望海ガトボニさんにちょっかいだす白咲にゃん、それをみてシャーッて威嚇する真彩にゃん、この三つ巴の構図がとっても好きだー。

 

コパカバーナ!テンションあがる!望海さんの声咆にまけないくらい真彩ちゃんの声も深くていっぱいで、ああ、好きな望海&真彩がふえてゆく・・・。熱い暑い夏の日々と、常夏のコパカバーナ、忘れられないな、と思った。

コパカバーナと云えば、あの『コパカバーナ』・・・好きなんです。「来てよ男―!」ピアノの上で歌う真彩ちゃんとか、ちょっと良いんじゃないかな?!

 

久城さんのソロが欲しいとずっと思っていた。真那、久城 煌羽のトリオは雪組の粋を集めた感がある。最初のほう(大劇場初見時)は、久城くんもうすこし自分を押しだしてもいいのでは、真ん中であることにどかん、とのっかるのもアリ、と思いながら東京公演、楽近くになるにつれどんどんアグレッシブになってきて隠しきれない攻度がましてゆくのを観るのはとても嬉しかったし、楽しかった。同じ間違いは二度としない、と、間違ったコトを紙に書きだして自戒の念と共に化粧前に貼っておくと云うストイックな舞台への姿勢、そして、キャラは破天荒だけれど役者としての誠実さ、久城くんのそう云うところがとても好きです。久城くん語りになってしまった。

煌羽さんの情の欠片もなさそうな、ほんとうは相手の女の子のことなんてオヤツくらいにしか思ってないんでしょ的なオーラとはうらはらに、踊るときのダンスそのものに対する真摯さに、この人の本命はダンスなんだ、と悟った。女よりダンスが好き。

真那さんがめくれてしまった娘役ちゃんのスカートをさり気なくささっとなおすの、そのあまりにも紳士的なスマートさに客席は大いなる好意を感じていたわけですが、その行為、この場面のコンセプト的に合っていないのでは?と思いつつ、それが真那春人と云う人なのだとすべてにおいて納得する。

シンガプーラはけっこうやんちゃであまえたちゃんな猫らしいのだけれど、沙月愛奈さんの攻めたくなるような上目遣いは、逃げながら誘うにゃんこの甘えた術のそれだった。沙月さんの昼下がり感にそわそわする今日この頃です。

けっこう笙乃茅桜ちゃんはやんちゃ系なのかな?!もしかして想定外にスカートがめくれてしまうが故の真那さんの紳士発動だったのだろうか。やわらかい鋼のような身体が自由に跳んだりくるくるとまわったり折り紙のようにいろいろなカタチになる笙野さんのダンスに惹かれる。

 

客席からにゃーにゃー鳴きながら登場するトップスター様とかアリ?!劇場ににゃんこが迷い込んできちゃったのかと思ったよ(盛ってる)ガトボニさんのお散歩道の通路席に座った日、望海ガトボニさんの肉球にふれてしまった・・・サラッとしてた。そのときガトボニさんの尻尾(黒いもふっもふ)が、するり、と手首をなでていったのだけれど、すっごいさわりごこちよかった。なんて上等な毛並みなの!ガトボニさん!

ここもBDに全収録して欲しい。私が観たときのぜんぶ可愛かったから観てないときのもぜんぶ可愛かったんだと思う。ガトボニさんの夏の自由研究、99回のアドリブ(と云うか日替わりネタ)を、貝殻や縁日の指輪、マタタビやカケスの羽根といっしょにキレイなお菓子の空き箱につめてサテンのリボンをかけて、夏の想いでとして2018年の夏の記憶と共にしまっておきたい。

望海ガトボニさんが「恋人いないんです、」と言ったときの真彩にゃんの、ふにゃ?!アタシは?!て、毛をぶわっと逆立ててお耳がピーンとなっちゃってるのも可愛かったし、何処から来たかの問いかけに応えたお客さんからの「愛媛!」に、「愛媛といえば雪組の彩風咲奈をよろしくお願いしまーす!」としっかり咲ちゃん推している望海ガトボニさんは最高だったし、プー斗さんはリベンジする必要あったかな?!でもそういうド真面目なトコロが好き!でもディ●ニーからおこられたりしないこれ???そして、あの、・・・ガトえもんは、衝撃でした・・・。ちゃんと大山のぶ代の声になっとる!!!しかもけっこう似てる!!!!!いまだかつてドラ●もんの真似を完璧にしてみせたトップスターていた・・・?めちゃくちゃ動揺したわ。どう反応していいのか戸惑ったけど笑うところなので笑った。実際、とても面白かったし、似ていたし、いや似ていたからこんなに動揺したんだよ。この日のことは忘れない。千穐楽は、銀橋の三人にむかって深々とお辞儀をしながら「ありがとうございましたー。」三人もあわててお辞儀してた。望海ガトボニさんと真彩、朝美、永久輝のスリーにゃんこーずたち、いいチームだったなあ。望海さん観たいけど銀橋のにゃんこーずたちも観たくて、一瞬だけ複眼になった日々でした。

 

セリ上がるサバンナ、彩凪さんの背中にどこまでも果てしなくひろがる乾いた大地が視えた。激しい砂嵐のように歌う彩凪さんの、この大地に生きる生命すべてを愛しむような歌声は強いけれど優しくて、すこし痛みを感じた。彩凪さんの眼は強いのに憂いていて、彩凪さんのキャラ属性が一枠でくくれないところってこういうところなんだよな、と思う。(受なのか攻なのか決めかねている。)

さっき、ぼく、ガトえもん~~~~~、とか言ってた人とおなじ人かな???お衣裳やかつらを変えるようにオーラまで一瞬でメタモルフォーゼさせてしまう、役者だなと思う。ショーのなかにも役者としての望海さんをいつも感じている。そしてそのオーラは波及して劇場を呑みこむ。神となり舞台の昂みに現れた望海ガートボニート、十字架に磔にされ見えない血を流している、そんなイメージだった。そう考えると、“今日、裏切られても” この歌詞につながるものがある。あのなかに、ユダはいたのか。裏切ったのは誰。でも、神の子は、“明日良いことがある” 誰も咎めはしない。すべては明日への糧となるのだから。なんと云うこじつけだろう我ながら!でもうまくつながった気がする。ここ、阿修羅のような目の色をして、とても清かに微笑うときがあって、怒りに激昂しているようでもあり、すべてを愛しんでいるようでもある。望海さんの歌声にはカタルシスがある。こう云う言い方はあまり好きではないけれど、すとんとハマる言葉が今、見つからなくて。セリ下がってゆくときの望海ガートボニートの笑顔は今日沈んでもまた明日昇る太陽のよう。奈落にきえてゆくその瞬間まで、指先の爪の先、神経の先端まで、美しかった。

それにしても宝塚のショーて最後みんな神になるよね。神様、オールマイティなオチに使われすぎ。

 

美しい夢をみた、すべては夢・・・、と、王様猫と女王猫が目覚めの扉を開く。夢は終り、さあ、お帰り・・・あなたの世界へ、と、それは観客が夢のようなショーから現実世界へと戻る時間が近いコトを知らされるときでもある。この場面になると、ああ、もうすぐ終わってしまう・・・と、思ってた。切ない。潤華メナニスちゃんが、サヨナラマタイツカアイマショウ、とばかりにお見送りしてくれるのが慰めだった。この潤はにゃん、可愛すぎない?!おうちに連れて帰りたい絶対ちゃんと世話するからお願い!

 

夢からの帰路を導くのがヒマラヤンの永久輝、星南、彩。それぞれ別の道へと連れていかれそうだし何かぜったいヤバい気がしないでもないけど、水色のお衣裳が清々しく、愛くるしいトリオだった。新書館系の少女漫画誌の表紙みたい。

 

かまってーだっこしてーおふとんにいれてーってむらがるにゃんこたちに、そんなに欲しがるなら今夜だけは抱いてあげるから、てにゃんこたちをお布団の中に入れてあげる望海ガトボニさん。お布団の中でにゃんこたちは自由。ちょ、爪立てないで、イタタ、噛まないで、・・・あっつい!!! けっきょく、にゃんこちゃんたちはお布団の中から追い出されました。みたいな歌詞の解釈。(猫から離れて。)

望海さんにむらがり、望海さんのうえを這う女たちは夢魔のよう。夢から醒めたはずなのにここはまだ夢のなかなのか。醒めたくない夢のなかで夢魔たちの罠にかかったように娘役たちと踊る望海ガートボニートさんはひとりひとり、ちゃんとまなざしをそそいで愛をわけあたえている様子が、どこまでも誠実で、とても好きなところ。

男役との総踊りはありったけの男役芸をこれでもかと云うくらい盛りにもってきて、それに解放たれた野生をさらに盛って魅せてきた。男役のかけ声と云うか咆哮がとびかうのすごくわっくわくする。誰よりも深く腰をおとす望海さんに、遺伝子・・・!と思わずにはいられない。紫と黒の組合せのお衣裳はゴチックで、とても映える。紫、猫、210・・・某家の四男を思いださずにはいられなかったよ。余談。

 

デュエットダンス。宝塚のショーのなかでいちばん好きなのをひとつ、と言われたらデュエダンと答えます。情熱的なのもいいしファンタジィもいい。望海真彩のデュエダンはふたりが同志と感じるのがとても好き。愛しても恋しても、どちらかがその道のあとからついてゆくのではなく、共に並んで歩んで行く、そう云う関係。そして藤井くんのデュエダンはそのトップコンビに対する藤井くんの見解をみることが出来るので、そうか、藤井くんの考える望海真彩はこうなのか・・・了解。藤井くんてもしかしてトップコンビちゅうなのかな。少なくともトップコンビちゅうの気持ちはよく理解してくれているよね。飢えていたトップコンビちゅうの飢餓感を満たさんばかりに望海真彩望海真彩望海真彩の金太郎飴状態のショーだった・・・。有難う、藤井くん。忘れないよサンキュー!!!

 

愛すみれちゃんのエトワールよかった!やはりエトワールは歌うまの娘役さんが担うべきだと思う。

シャンシャンはねこじゃらし。ねこじゃらし・・・すごい。まさかねこじゃらしがモチーフになるとは。この、望海さんバージョンのシャンシャン(赤が二本で紫が一本)のミニチュア版を友人が作ってくれたんです!むっちゃかわいいの!公演中、バッグチャームとしてつけてた。もっふもふであつくるしかったけど。笑。

フィナーレのパレードの歌詞で、♪~誰かに裏切られても明日良いことがある、明日―!て歌っちゃうの、前向きなんだか切ないんだかわかんないな。

トップさんが二番手さんと、相手役さんと、挨拶するの好き。大きな羽がわっさわさと銀橋をわたってゆく光景はとてもいい。

千穐楽の挨拶は、「サリュー」凱旋門からの乾杯。自分で号令をかけておいて、「・・・、・・・ぼーっとしちゃって、」と、すっかり気のゆるゆるな望海さん。Cawaii・・・・・・。無事に並走することが出来て、私もぼーっとした。卒業生の挨拶といっしょに、私もこの光景を忘れません、と。皆も忘れないでしょう。

幕が降りる瞬間まで、みんなおおはしゃぎしていて、それぞれパフォーマンスと云うか、自由だった。2018年、平成最後の夏、とても楽しい公演でした。にゃーお!

 

あとで何か気がついたら書き足します!